おもしろ石敢當 その2 鬼偏7文字の石敢當
北斗七星をあらわす鬼偏7文字を刻んだ石敢當が本部町に三基、大宜味村に一基ある。 中国の民間信仰ともされる「道教」では、「南斗六星」が生を、「北斗」は死を司るとされ、北方や北斗に対して無作法や無礼がないように戒めているという。このような理由から駆除を目的として造立する石敢當に北斗七星を刻むのは、むしろ当然(窪徳忠)だとする考え方は説得力をもつ。 数は少ないものの、沖縄の石敢當にこのような事例が見られるのも不思議なことではないのかも知れない。 本部町の三基の石敢當造立の際には、いずれも「ムヌシリ」( … 続きを読む
参考書籍:沖縄の魔よけとまじない
おもしろ石敢當 その1
数は少なくなってしまったが、各市町村に残っている伝統的な石づくりの石敢當には実に個性的なものが多い。 そのほとんどは重量感あふれる自然石(琉球石灰岩=ニービと呼称される細粒砂岩)である。 石に刻まれた文字も、巧拙は別にしてもそれぞれに味わいがある。恐らく石工の手によって刻み込まれたのであろう。また、大きさに違いはあるものの長い風雨に堪えたゴツゴツした石面からは石の持つ呪力が放たれているようにも思える。 小路の突き当たりに立てられたこれらの石敢當を見ていると「敢えて当たって霊力どもをねじ伏せて従わ … 続きを読む
参考書籍:沖縄の魔よけとまじない
石敢當のルーツ
沖縄では、「ヤナカジ・シタナカジ」とよばれる悪霊や悪鬼、妖怪どもは道を直進してやってきて、その突き当たるところでたむろすると考えられている。 このような場所でたむろするヤナカジ・シタナカジを追い出さなければ、いずれ屋敷の中に入り込み災厄をもたらしてしまう。それだから「ヤナカジゲーシ」とよばれる「悪風返し」をする必要があるわけだ。 ヤナカジゲーシの役目を果たしたのが、はじめは文字の刻まれていない自然の石であった。数は少なくなったとはいえ、このような自然の石が見られる理由でもある。 自然の石に、ある … 続きを読む
参考書籍:沖縄の魔よけとまじない
沖縄的魔よけ文化
これほど中国的でこれほど沖縄的な習俗はなかなか見つからない。 もともとは重量感のある石づくり、これなどはいかにも中国的だ。ところが、観光土産店にいけば、人形大のシーサーも手のひらサイズの石敢當も簡単に手に入る。これが現代版のシーサーと石敢當で、いかにも沖縄的である。 沖縄は魔の横行する土地柄、油断していると気づかぬ間に家の中に侵入する。 それを防ぎこらしめるために庶民の知恵としてつくり出したのが石敢當とシーサーに代表される呪具のあれやこれやである。
参考書籍:沖縄の魔よけとまじない