マブイワカシ

生者と死者の霊を分かつ儀礼のことで、多くの地域ではシンジュウクニチの焼香がすんだ後、ユタの司祭のもとでマブイワカシの儀礼がおこなわれる。 地方によって「ナーチャヌミー」(葬式の翌日)あるいは3日目にこの儀礼をおこなうところもあるようだ。 家族および臨終に立ち会った者たちが参加しておこなわれるマブイワカシは、亡くなった者との最後の別れの儀式ということになる。 死者に対して明確に現世との絶交を示す意味があり、現世に対する未練を断ち切り、成仏を願うことにもつながるとされている。 ユタや地域によって儀礼 … 続きを読む

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イーフェーノーシ

イーフェーノーシとは、「シルイーフェー」(白位牌)から「ヌリイーフェー」(本位牌)に祀る儀礼のことで、シンジュウクニチ(49日)の際におこなわれる。 49日までシルイーフェーに祀られていた死者の霊を抜き、ヌリイーフェーに移す。最近は坊さんが司祭する例が多いようだが、死者儀礼の一つとしてユタが司祭することも珍しくないようだ。 ヌジファーのすんだシルイーフェーは、他の葬具といっしょに墓前で焼却される。焼却したときに出た灰の一部を取って仏ダンのウコールの灰と混ぜる。 その他にも、流産した愛児の霊を供養 … 続きを読む

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ヌジファー

亡くなった人の魂を移動させるために霊を抜く儀礼、いわゆる抜霊儀礼のことを「ヌジファー」という。 ヌジファーを司祭するのはふつうユタが多いようだが、ウグヮンサーが執り行うこともあるようだ。 ヌジファーは亡くなった場所でおこなうのが原則のようだが、例外もある。病院で死亡した場合は病院で、事故で亡くなった場合は事故現場で行う。 病院で亡くなった場合についてヌジファーの具体例を記す。 患者が亡くなった病院のベッドのそばで、多くの場合はユタ(代理としてウグヮンサー)が司祭してヌジファーが行われる。 花米・ … 続きを読む

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シジタダシは何のために必要なのか

沖縄には「亡くなった人の霊は、生きている人の運命を左右する力がある」とする観念が伝統的にあるようだ。だから死者の霊魂を慰め、供養することを大切にする。 子孫が病気になったり、ヤー(家)が繁栄しなかったり、商売がうまくいかなかったりするのは、祖先に対する「ウグヮンブスク」(御願不足)が原因ではなかろうかと考えたりする。 ウグヮンブスクとは文字通り、祖先に対する供養が足りないということなのだが、だからといって御願の回数を増やしたり、供物を豪華にすればそれで事足りるというわけではない。誤った御願をいく … 続きを読む

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シジタダシとウグヮンマーイ その2

祖先系譜をたどるなかで、私生児あつかいされた7代目の祖先のことや何らかの理由で供養されていない6代目の祖先のことなど具体的な話を聞かされても、依頼者にそれを確認するすべはないというのが本当のところだろう。 さらにそのうえに、何百年も前の時代のことが現在の自分のかかえている問題とつながっていると指摘されても、にわかに信じ難い気持ちになるのは、これまた当然のことである。 しかし、ユタのハンジでは、私生児あつかいを受けた祖先を本来の地位にもどして供養しろとか、供養されていない祖先の霊(遺骨)をさぐり当 … 続きを読む

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シジタダシとウグヮンマーイ

「シジ」とは血のつながり、すなわち血筋のことだが、ここで言うシジとは血のつながりのある人、いわゆる血族全体をさしているのではない。 周辺離島を含む沖縄本島では、祖先のイーフェーを継承し、祖先のイーフェーといっしょに祀られる資格を有する者は「シジのある者」に限られるとする観念が極めて強い。 「シジのある者」とは「父方の血筋をひく男子」という絶対条件がつく。 従って祖先のイーフェーの継承に関するかぎりにおいては女子は絶対条件を欠いていることになる。 ユタの判断(ハンジ)によって「シジタダシ」をしなけ … 続きを読む

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イーフェーの継承と財産の相続

トートーメーの継承と財産の相続が表裏一体のものとして語られるようになったのは、いったいいつの時代のことであろうか。わずらわしいのだが、歴史を少しばかり振り返ってみる。 1879年、俗にいうところの琉球処分が断行され、沖縄県が設置された。ところが沖縄県発足直後は、沖縄県の特殊事情を理由に本土並みの改革に着手しようとしなかった(旧慣温存策)明治政府も、1896年から沖縄県の改革に手をうちはじめる。 旧慣温存策のひとつとして改革がすえおかれていた土地制度を改正するために、土地整理が開始される。一見、ト … 続きを読む

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ユタとのかかわり

よく指摘されるトートーメー問題というのは、とどのつまりは「イーフェーの継承と財産相続」にかかわってくるようだ。 イーフェーの継承には、沖縄特有のルールがあり、トートーメーには財産はつきものだとする考え方がある。このようなルールや考え方に固執しているかぎりは、沖縄社会からトートーメー問題もなくならないといえる。 本土のように、位牌はだれが祀ってもよく、その継承と財産相続はきりはなして考えるという風潮が出てくれば、トートーメー問題もある程度解消されることになるだろう。 しかし、沖縄社会では今日でもな … 続きを読む

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トートーメー継承のルールとタブー その2

もっとも理想的なトートーメーの継承を実現するために定められたのが「四つのルール」である。 そのルールを破ることは、理想とされるトートーメー継承から逸脱することであり、そのためにタブーとして禁じられているわけだ。 四つの「ルール」とは、以下に掲げる決まりである。 1 トートーメーは代々嫡男によって継承されるのがもっとも好ましく、嫡男をさしおいて次・三男以下の者に継がせてはいけない。 2 将来、嫁ぎ先の祖先として祀られることが期待される娘に、生家のトートーメーを継がせてはいけない。 3 不幸にも継承 … 続きを読む

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トートーメー継承のルールとタブー その1

祖先の霊を祀ったイーフェー(位牌・トートーメー)をまつる権利は、代々長男だけが独占的に継承できる決まり(約束)となっているのが、沖縄の伝統的な慣行となって今日に引き継がれている。それに伴って家・財産もいっしょに相続されるのはごく当り前のことと受け止められている。 トートーメーを継承するということは、とりもなおさず家・屋敷・土地などの財産も同時に相続する事を意味している事になる。  「トートーメーに財産はつきもの」だとする考え方が今日の社会でも半ば認められているわけだ。 トートーメーといっしょに相 … 続きを読む

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