シャコガイは太くて重量感があるので、幽霊や年波(年をとること)のよってくるのを防ぎ、スイジガイは小さくて軽量なので、ヤナカジ(悪霊)から眼病などの厄祓いに使ったという。
スイジガイのことを、那覇近郊や中部地域では「ユーナチモーモー」という。「ユーナチ」は幼児の夜泣きのことで、「モーモー」は牛を示す幼児語である。
その名前から連想したのかどうかは判然としないが、子どもの夜泣きは、スイジガイをフール(便所)に吊るすと治るといわれていた。また別の地域では、豚の分娩のあるときはスイジガイを畜舎に吊るしたという。
このような風習の伝えられている地域は意外と多いのだが、フールや屋敷内の畜舎がなくなってしまった今となっては、消えゆく習俗の一つとなってしまったようである。
〔次回 9月29日|その他の魔よけ〕
貝 その4
参考書籍:沖縄の魔よけとまじない
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