前田の権現 その2

その昔、首里を往来する人が通るたびにキッチャキ(つまずく)する石があった。いくらかたづけても石はもとの位置にもどり、つまずくので「キッチャキ石」とよばれるようになった。

そんなおり、役人が使者として中国に赴くことになった。そこで役人は、もしキッチャキ石が神さまの権(かり)の姿であるならば、役目をきちんと果たし、何事もなく無事に帰国できるようにという私の願いをきっと叶えてくださるにちがいないと一心に祈りを捧げた。

果たせるかな、役人の望み通り使命をしっかりと果たし、無事に帰国することができた。
以来、キッチャキ石は権現として人びとが崇拝するようになった。古老の話では、これが前田権現の縁起として語りつがれているという。
現在でも子孫繁栄と家族の健康祈願に訪れる人が多い。

〔次回 3月23日|前田の普天間グヮー〕

参考書籍:沖縄の聖地

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