子どもの誕生とヒヌカン

子どもの産声を聞くと祖母はまず、ヒヌカンへの報告のための御願をした。赤ちゃんが無事に生まれたことへの感謝と、「ヤーニンジュ」(家族)の一員として認めてもらうための願いと、その加護を祈った。ヒヌカンに花米と酒をそなえ、線香をともして、子どもがヒヌカンの加護のもとに入ったことを確認したのであろう。そして、トートーメーにも同じように祈願し見守ってくださるように祈った。

出産の報告を済ませると、「カーウリー」(川下り)という儀礼にのぞんだ。「ウブミジ」(産水)を汲むために「ウブガー」(産川)や「ムラガー」(村ガー)に下りる。汲んできたウブミジを使って「ウビナディ」をし、産湯につかわす。この一連の儀礼のことを「カーウリー」とよんでいる。

ウビナディとは、わんに入れたウブミジに中指をつけて赤ちゃんの額を3回撫でる呪法のことをいうのだが、赤ちゃんのすこやかな成長を願うまじないである。
病院出産がふつうになった現在では、こうした儀式もほとんど見られなくなってしまった。また、ウブミジを汲んだ「ウブガー」や「村ガー」も少なくなってしまったようだ。

〔次回 12月17日|ナージキーとヒヌカン〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 絵でみる 御願365日

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