トートーメー継承のルールとタブー その1

祖先の霊を祀ったイーフェー(位牌・トートーメー)をまつる権利は、代々長男だけが独占的に継承できる決まり(約束)となっているのが、沖縄の伝統的な慣行となって今日に引き継がれている。それに伴って家・財産もいっしょに相続されるのはごく当り前のことと受け止められている。
トートーメーを継承するということは、とりもなおさず家・屋敷・土地などの財産も同時に相続する事を意味している事になる。

 「トートーメーに財産はつきもの」だとする考え方が今日の社会でも半ば認められているわけだ。
トートーメーといっしょに相続した財産は、祖先を祀り供養するための「クイブチ」(資源)だとみなされているのである。それだから、トートーメー継承者が財産相続上で優位な立場に立つ事を認めざるを得ないという雰囲気が現代沖縄社会の中にも色濃く残っているわけだ。
こうした約束事(原則)を守って行くために、トートーメーを継承するにあたってのルールがあり、そのルールーを破ることはタブーとして厳しく戒めている。

もしルールを破ってトートーメーが継承された場合、災厄がもたらされると信じられている。しかもやっかいなことには、災厄はトートーメーの継承者ばかりではなく、広くその血縁者にまで及ぶとされているのである。
それだけに、トートーメーの継承をめぐっては、財産問題もからんで当事者はもちろんのこと、その親族やことによっては門中(一門)までもが大きな関心を寄せる事になる。

〔次回 4月23日|トートーメー継承のルールとタブー その2〕

参考書籍:

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