シジタダシは何のためにするのか?
シジタダシの最大の眼目は「子孫の御願がよく通り、祖先の霊が慰められ、供養が十分に受けられるよう」にするためである。 シジタダシをすることによって、祖先を祀った位牌がきちんと(正しく)整理され、御願が通り、「フスク」が解消されて、災厄が取り除かれるとされている。 ここでいう「フスク」とは、位牌が未整理のために御願が通らず霊が供養を受けられずに、御願不足の状態になることを意味する。 こうした「フスク」の状態にある祖先の霊は、そのことを知らせる(気づかせる)ために災厄をもたらすというわけだ。 このよう … 続きを読む
シジタダシを司祭するのは
シジタダシが必要か否かを判断できるのは、ほとんどの場合は霊能者(ユタ)ということになる。一般人が世代をさかのぼって、トートーメーが正しく継承されているか、あるいは正しく祀られているかを検証するのは不可能だからだ。それだから、勢いユタなどの霊能者の霊力頼みということになってしまう。 シジタダシが必要だと判断されたトートーメーは、本来のあるべき姿にもどし、御願を入れる必須な場所で御願を入れることによってシジタダシが完了すると考えられている。 当然のことながら、御願を入れる必須の場所を選定するのもユタ … 続きを読む
シジタダシ その7
沖縄には死者の霊は、生きている人の運命を左右する力があるとする観念がある。それだから、死者の霊を慰め、供養することを何よりもたいせつにする。 ところが誤って継承されたトートーメーをそのままにしておいて、いくら熱心に御願しても、いくら豪華な供物をそなえても、それは「とおらない御願」になってしまい、祖先にはとどかないと考えられている。したがって、祖先は常に「ウグヮンブスク」の状態にあるということになる。 子孫が病気になったり、家が繁昌しなかったり、商売がうまくいかないのも、ウグヮンブスクの状態にある … 続きを読む
シジタダシ その6
子孫の御願がよく通り、位牌にまつられた祖先の霊が慰められ、供養が十分に受けられるために「シジタダシ」がおこなわれる。 シジタダシをすることによって「フスク」(不足)は解消され、子孫の災難が取り除かれると考えられている。 「フスク」というのは、トートーメーが誤って継承されているために御願が通らず供養されないために、常に御願が足りない状態にあることをさす。そのフスクの状態であることを子孫に知らせるために災厄をもたらすというわけだ。 そのような状態にある祖先の霊に御願の回数を増やしても、供物を豪華にし … 続きを読む
シジタダシ その5
シジタダシが必要かどうかを判断するのは、ほとんどの場合はユタなどの霊能者である。一般の人が世代をさかのぼってトートーメーが正しくまつられているかどうかを検証するのは不可能だからだ。そこで勢い、ユタなどの霊能者の霊力を頼ることになる。 シジタダシが必要だと判断されたトートーメーは、その誤りを正し本来の姿にもどしてまつることになる。そのためには、必要な場所にシジタダシを判断した霊能者の指示通り、御願を入れなければならない。 当然その際の御願を司祭するのも、霊能者当人かあるいはその指名を受けたウグヮン … 続きを読む
シジタダシ その4
トートーメーの継承にかかわる問題は、当人だけでなく子や孫にも深くかかわってくる。トートーメー問題が非常に悩ましく、想像以上に根が深いとされる原因でもあるといえよう。 さりながら、実際的にはルール通りにはいかない場合でも、話し合いによって「シービチ」(継承者)を決めていくケースが数多く見られるのも、これまた現実社会の実態なのである。先人たちの生きる知恵に学ぶことが多いのも、トートーメー問題の特徴の一つともなっている。 ルールを厳しく守ることを優先するあまりに、継承者のいないトートーメー、いわゆる「 … 続きを読む
シジタダシ その3
シジタダシの必要なトートーメー(位牌)は、いろいろなケ-スが考えられるが、もっとも多く見られるのが以下の3つの事例である。 (1).資格のない者がトートーメーを継承し、まつられている。 (2).優先順位をまちがえてトートーメーが継承されている。 (3).本来まつられるべき者がまつられていない。 そのほかにも多様な事例が散見されるのだが、いずれにしても「四つのルール」に違反して継承されたトートーメーは「シジタダシ」をしなければならないとされている。 まず、祖先の系譜をさかのぼる作業から始めるこ … 続きを読む
シジタダシ その2
代々の位牌に祀られている祖先を、世代をさかのぼって、マシジ(父方の血筋をひく男子)であるか否かを確認し、正していく行為を一般に「シジタダシ」とよんでいる。 マシジであるか否かの判断は、当事者が記憶している範囲であれば黒白がつけられようが、何世代もさかのぼって確認する作業は、ほとんどの場合、当事者だけでは手にあまる。確認できる客観的な資料もほとんどの場合は無い。だとすれば、その判断は霊能者の霊力を頼るということになる。沖縄のトートーメー問題に霊能者が深くかかわってくる理由もそこにある。 霊能者の判 … 続きを読む
シジタダシ その1
「シジ」とは血筋のことで、本島や周辺離島では、位牌を継承し、祖先の位牌にまつられる資格のある者は「シジのある者」という絶対条件がつく。当然のことながら女子も「シジのある者」ということになるのだが、ここでは「父方の血筋をひく者」という限定条件がつく。父方の血筋を「マシジ」といい、位牌の継承者は「マシジ」に限定されていることになり、母方の血をひく者あるいは女子は排除されている。 このような条件は、門中の成員になる資格と同じで、位牌継承と門中制度が深くかかわっているとされる所以でもある。 沖縄では、は … 続きを読む
トートーメーを司祭するのは
トートーメー(位牌)と並んで家庭信仰の中核をなしている火の神を司祭するのは一家の主婦である。そのほかにも、門中のクディによる祖先神のまつり、ノロ(祝女)やニーガン(根神)などによる村落祭祀など、沖縄では信仰の中心的な役割を果たしているのも女性である。 ところが、女性(娘)は生家のトートーメーのまつりにはいっさいかかわってはいけないとされている。未婚の女性は年齢に関係なく、生家のトートーメー祭祀は担当すべきではないとされているのである。また、極端な例でいうと未亡人であっても、亡き夫の位牌祭祀の際に … 続きを読む
参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日