沖縄では古くから、家や墓をつくるときの方位は、大工を通して「サンジンソウ」や「フンシーミー」に頼んで決めるのがふつうであった。サンジンソウは易者で、フンシーミーは風水師である。
依頼を受けた彼らは、伝統的な沖縄人の方位に対する吉凶の考え方に易や風水を取り入れて方位を決定していた。
沖縄人の伝統的な方位の吉凶判断はどういうものか。
かっての中山王都(浦添)から見て、聖地・久高島は「辰(たつ)の方位」(東から南へ30度)の洋上にあり、もう一つの聖地・与那古浜(ヨナグハマ)は「巳(み)の方位」(南から東へ30度)にある。この二つの聖地のある「辰巳の方位」(東南)をニライ・カナイの神のいますところとして「吉方位」と考え、その反対の「戊亥(いぬい)」(西北)を「凶方位」としたのである。
家の向き
家の向きは、伝統的な吉方位を基本としながら、十二方位の中心に当たらないように気をつけた。午の方位(南向き)を基本としながらも、その中心に当たらないように「巳」(南南東)か「未」(南南西)に少しずらす工夫をしたわけだ。
墓の向き
家の向き以上に神経を使ったのが墓の向きである。
墓の方位を決めるさいに、もっともたいせつにされたのが墓主の干支とのかかわりである。伝統的な吉方位を基本とするのは同じだが、「墓主の干支と同じ方角に墓の方位をとってはいけない」ということが一番重要視された。
墓主の干支(子の場合)とつぎの干支(丑)の間を「フシアナ」といい、墓の方位としては絶対さけるべきだとされている。そのフシアナと反対の方位(この場合は午と未の間)もさけるべきだとされている。また家の方位と同じく、十二方位の中心に当たらないように気をつけなければいけないとされている。
そのほかにも、御嶽、アシャギ、神屋などの拝所のある方角、家の方角も、墓の向きとしてはよくないとされている。
参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり 沖縄祝い事便利帳 まるごとわかる!ユタ
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