ナージキーとヒヌカン

「ナージキー」とは命名儀礼のことである。その命名儀礼でおこなわれていた庭遊び(カカンを被った老女による儀礼)はすっかりすたれてしまったが、ヒヌカンとトートーメーの前での儀礼は今に受け継がれている。 ●ヒヌカンの前での儀礼 赤ちゃんを抱いた老女(祖母が多い)がヒヌカンに命名の報告をおこなう。そのとき、祝いのために炊きあげた産飯(赤飯)をしゃもじでかきまぜる。 その際に「ミーミーミー」という呪文を3回唱える。赤ちゃんに福をさずけるおまじないだとされている。 ●トートーメーの前の儀礼 赤ちゃんを仏だん … 続きを読む

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子どもの誕生とヒヌカン

子どもの産声を聞くと祖母はまず、ヒヌカンへの報告のための御願をした。赤ちゃんが無事に生まれたことへの感謝と、「ヤーニンジュ」(家族)の一員として認めてもらうための願いと、その加護を祈った。ヒヌカンに花米と酒をそなえ、線香をともして、子どもがヒヌカンの加護のもとに入ったことを確認したのであろう。そして、トートーメーにも同じように祈願し見守ってくださるように祈った。 出産の報告を済ませると、「カーウリー」(川下り)という儀礼にのぞんだ。「ウブミジ」(産水)を汲むために「ウブガー」(産川)や「ムラガー … 続きを読む

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厄よけとヒヌカン その1

沖縄では、野鳥などが家の中に入るのは不吉とされ「厄入り」とされた。野鳥が入るということは災厄の前ぶれであり、人の死をも暗示させるものだとして怖れられた。 このようなときは、ほぼ全島的に自宅の見えない場所や海岸近くで外泊し、難を去らしめてから家にもどった。 浦添市の事例を紹介すると、自分の家から見えなくて且つ海の方角にある他人の家に一晩宿泊してくる。自宅を出るときにカマドの灰をきれいにかきならし、その上に「カマンタ」(なべのふた)をかぶせておく。帰宅したとき、灰がそのままだと厄は晴れ、灰に鳥などの … 続きを読む

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川で落とした場合

マブヤーメー(小さなおにぎり)・花米・酒・ハシグヮー(バショウや竹でつくった橋の模型)をもち、当人(マブイを落とした子)を川のほとりに連れて行く。 ケガ(溺れた場所)をしたところに面した川のほとりに小石3個を置き、そこから川べりに持ってきたハシグヮーをかける。 持参した供物をそなえて祈願してから「マブヤーイジリヨー ハシカラヌブリヨー」(マブヤー出てこいよー、橋からのぼってこいよー)と唱える。 それから川の水を汲んで茶わんに入れ、その水を子どもの額に3回つける。 これは宜野湾市で行われた川でマブ … 続きを読む

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マブイグミの儀式

一般的にマブイグミをするときの供物としては、線香、ビンス(酒)、塩、花米などがあり、使用する呪具としてはサンやはしごなどがある。そのほかに子どもが身につけていた服、ごちそうなどを用意する。 線香、酒、花米はいろいろな御願の際にも用いられるもので、いわば基本的なウグヮンドーグといえる。 サンは魔よけ呪具の一つで、大小の二種類がある。大きいものはススキやカヤなどの葉っぱを束ねて十字に結んだもの。小さいものはイトバショウの葉をひきさいて十字に結んだもの。サンはマブイを誘い込むときに使用する。 はしごと … 続きを読む

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マブイグミとヒヌカン

人間の身体に宿っている霊魂のことを沖縄人は「マブイ」とよんでいる。 沖縄人の霊魂観をあらわすことばとして「ナナマブイ」という表現がある。「ナナマブイ」とは文字通り「七つの魂」のことをいうのだが、生者には「イチマブイ」が、死者には「シニマブイ」が宿るものだと信じられている。それだから、ありていに言えば肉体が滅んでも「シニマブイ」という形で霊魂は宿っているということになる。 今回の表題の「マブイグミ」というのは、生者に宿ると考えられている「イチマブイ」の話である。 人間の体に宿っている「マブイ」は何 … 続きを読む

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ヒヌカンの下天の拝み

年末に天の神さまのもとに帰ったヒヌカンが、もどってくる日(下天)とされているのが旧暦の1月元日から4日までである。 上天の日が12月24日(旧暦)とほぼ統一されているのと比べると、下天の日は地域によってバラつきが見られる。その理由は解明されていないようだが、中国のカマド神の受容の濃淡が影響しているのではなかろうか。 下天の日の御願は、ほとんどの地域で「家族の健康、家庭の円満」などを祈願し「守護」を願っているようだ。 ヒヌカンが下天する際には「黄金(クガニ)を抱いてくる」、あるいは「金銀財宝(クガ … 続きを読む

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12月24日の上天(昇天)の拝み

旧暦の12月24日は、ヒヌカンが天の神さまのもとに帰る日だとされ、その日に「ヒヌカンの上天の拝み」がおこなわれる。 ただ、ヒヌカンが上天(昇天)するという考え方は、中国のカマド神の影響を受けて沖縄に定着したとされているが、そうした考え方が全島域にいきわたっているわけでもない。 また上天の理由として「一家の一年中の出来事、家族のよい行い、悪い行いすべてを報告するため」とする地域が多いのは確かだが、それも一様ではない。 ともあれ、上天説が信じられている地域では、その日は御願がおこなわれる。 御願に先 … 続きを読む

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チィタチ・ジュウグニチのウグヮンクトゥバ

簡単にいえば祈りのことばを「ウグヮンクトゥバ」といい、少し専門的なニュアンスを加えると「グイス」などと表現する。 ウグヮンサーなど、いわば専門家の唱えるグイスや地域に伝わる伝統的なグイスは、当然のことだが方言である。しかも独得な言い回しを多用するので、一般の人が使いこなすのはなかなか骨が折れる。 あくまでも祈りのことばだから、そのとき心の中に湧き出ることばで祈ればよいということになる。 あえて決まりを記すと以下の通りである。 1 ウートートゥの呼びかけで始まる 2 御願の目的と供物を紹介する 3 … 続きを読む

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チィタチ・ジュウグニチの御願

旧暦の1日と15日(チィタチ・ジュウグニチ)は定期のヒヌカンへの御願日とされている。 ヒヌカンのまつられている家庭の主婦は、チィタチ・ジュウグニチになると、ウチャトゥ(お茶湯)をたてて、ウブクをおそなえし、「家族の健康と家庭の円満」を願って、ウートートゥする。 特別気がかりなことがない場合は、家族の健康・家庭円満を願い、祖霊の加護に感謝をささげることになるのだが、受験シーズン到来の時期となれば合格を祈願し、家族に妊婦がいれば安産を祈願することになる。 ・トートーメーに供えるもの  ウチャトゥ・ウ … 続きを読む

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