かっての沖縄では家人が亡くなるとカマドを取り壊し、ヒヌカンの依り代である三つ石を取り替えるという地域が多く見られた。家族の守護神という役割が家人の死亡により一応の終止符がうたれるということなのだろう。残された家族は新しいヒヌカンの依り代によって守護されるということになる。
カマドが姿を消し、三つ石のかわりにウコールを依り代とする現代では、このような習俗もいつの間にか忘れ去られてしまったようだ。
地域によっては家人というより司祭者である主婦が亡くなったときだけ取り替えるとするところもあった。またヒヌカンの依り代を新しく安置する際にもいろいろな儀式があったようだが、そのことを記憶しておられる古老も徐々に少なくなってきた。いずれ失われた習俗の一つとなってしまうのだろう。
〔次回 5月5日|死とヒヌカン〕
死とヒヌカン
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