9 「シラシ」(知らせ)

いけにえの供物をおそなえし、祖先の霊をまつることを「血食」(けっしょく)という。このような祖先祭は決して絶やしてはいけないというのが「血食思想」という。
中国で生まれた血食思想によれば、亡くなった者もあの世(グソー)にいってから、あの世の支配者に供物(ウサギムン)を捧げたり、税金を納めなければ、あの世での安穏とした暮らしができないという。
それだから当然のこと、子孫が先祖に対するまつりごとをきちんとしなかったり、忘れたりすると、あの世にいる祖先も自分の義務が果たせなくなり、辛い思いをすることになる。そこで、祖先の霊は自分の苦境を知らせるために、子孫に災厄をもたらすことになる。これをユタ社会では祖先の霊からの「シラシ」だと解釈するのである。

〔次回 3月28日|10 「ウグヮンブスク」(御願不足)〕

参考書籍:

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