22 「シジタダシ その1」

シジタダシ」にはふつう「筋正し」という字をあてる。簡略していえば「シジ=筋」を「タダス=正す」ことである。
ここでいう「シジ」(筋)とは、血筋のことで、もっと狭い意味で父方(男系)の血筋のことをさす。

父方の血筋は、沖縄のトートーメー問題(位牌の祭祀と継承)の核心をなすものであり、位牌をまつり継承する際の絶対的な条件とされ、その条件を犯すものはタブーとされ、厳しく禁じられている。万が一にもその禁を犯してまつり、継承されたトートーメー(位牌)は、過去にさかのぼってそれを正さなければならないと考えられている。ただ、父方の血筋を何世代にもさかのぼって検証する手段は実際的にはなく、その正当性を立証することはほとんど不可能である。そこでユタなどの霊的能力に寄る判断をあおぐことになるというわけだ。

グヮンスグトゥ(祖先祭祀にまつわること)に関する問題は、80パーセント強がこの血筋の正当性にかかわる問題で、それだけにユタがかかわっている機会が増えてくるという構図が一貫してつづいているのである。
シジタダシは依頼者の要望に応えて、遅滞なく実践できる事がユタになる条件の一つとなるわけだ。

〔次回 6月20日|23 「シジタダシ その2」〕

参考書籍:

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