前回の「イナググヮンス」とともに、もっとも厳格に守るべきルールとされているのが「マシジ」によるトートーメーの継承である。
マシジとは父方の血筋をひく者をさし、母方の血筋は除かれる。
言うまでもないことだが、血筋をひかない者(血縁関係のない者)は、いかなる理由があってもトートーメーの継承者として認めないし、祖霊といっしょに祀ることは許されない。
こうしたルールを破ってトートーメーを継承することを「タチーマジクイ」(他系混ぜ込み)といってタブーとされているのである。
タチーマジクイのあるトートーメーは御願が通らず、供養されることもない。その結果、常にウグヮンブスク(御願不足)の状態であり、そのことを知らせるために子孫に災厄をおよぼす(シラシという)というのである。
したがって、こうしたトートーメーは「シジタダシ」(血筋を正す)をしなければ子孫にふりかかる災厄は取り除くことはできないとされているのである。
ただ、明らかにタチーマジクイのあるトートーメーのシジタダシは比較的容易に実践できるだろうが、世代をわたって継承されたトートーメーの場合、さかのぼってタチーマジクイを確認するのは極めて困難な作業になる。
ほとんどの場合、その判断はユタのハンジ(判示)に頼る以外の方法がないというのが現状だ。
さらにその上やっかいなことは、タチーマジクイが確認された場合でも、シジタダシを実践できるのは、ユタやユタの指導を受けたウグヮンサー(御願を専門とする人)に限るとされていることである。
当然、シジタダシには時間も労力も費用も入用となる。
〔次回 9月12日|ルール その4〕
ルール その3
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