ルール その2

トートーメーの継承問題で、常に社会的な関心を喚起しているのが「女性を継承者として認めない」、いわゆる「イナググヮンス」(女元祖)のルールである。

女性(娘)は将来、生家を出て嫁にいき、夫とともに嫁ぎ先の先祖としてまつられなければいけない、とする考え方が根底にある。したがって、娘(女性)ははじめからトートーメーの継承者としての資格は剥奪され、生家の祖霊としてまつられる権利を奪われているわけだ。
「トートーメーに財産はつきもの」とする慣習が根強く生きている沖縄では、時として新民法で保証された財産の分与の権利の放棄まで迫られるケースがでてくる原因ともなっている。

そればかりではない。未婚のまま死亡した女性や離婚して生家にもどって死亡した女性の位牌は「サギブチダン」と称する、極めて不名誉な扱いをうける。
サギブチダンとは、位牌を仏だんに安置してまつるのではなく、台所の北(西の場合も)隅に小さな棚を作り、その上に安置することだが、この場合、位牌も粗末なものにし、ウコールも小さなものにするのが、古くからのしきたりとなっている。

このような理不尽な扱いをうけるのも、女性をトートメーの継承者から排除し、嫁ぎ先の祖先としてまつられるべきだとする前近代的な慣習のなせるわざである。
トートーメーの継承に関するかぎりでは、沖縄の女性は未婚でいることは許されず、離婚することもご法度ということになる。

イナググヮンスをさけるために、子どもが娘だけの家庭では、トートーメーを継承させるという目的だけで養子をとり、財産を与えるという、まことに不条理なことが現実におきているのである。
イナググヮンスを許してしまうと代々イナググヮンスになってしまう。
つまり、男子が生まれない、生まれたとしてもトートーメーを継承できない災難に遭うという根拠の全くない俗信をすてなければならない。

〔次回 7月18日|ルール その3〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日

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