沖縄の伝統的な行事料理といえば、家庭の主婦であればすぐ「ウサンミ」(御三味)とよばれる重箱料理を思いうかべるだろう。
ウサンミは「シーミー」(清明祭)や彼岸祭などの年中行事だけでなく、年忌などの法要のさいにも仏前に必ずそなえることになっている。
ウサンミに「三味」の字をあてているところから「「三つの味」と解する人もいるようだが、もともとは中国ではじまった神・仏にそなえる三種のいけにえ(三牲〔さんせい〕)のことをあらわしたものである。ちなみに三種のいけにえとは「牛・羊・豚」の三種類の動物のことである。
沖縄でいう本式の御三味は「ウフサンミ」とよばれるもので、琉球王室や久米村では、その内容は「鶏・魚・豚肉」とされていた。それが、首里や那覇の支配者階級(士族)の間にひろまると「魚と豚肉」の二種類となり、これを中心とする重箱料理が一般の人たちにも普及し、「ウサンミ」とよばれるようになったとされている。
ウサンミの内容は、地域によってちがいも見られるが、ここでは首里のウサンミを例にあげることにする。
「首里のウサンミ」
1 煮しめもの(豚肉・こんぶ・大根・ごぼうなど)
2 揚げもの(田芋・とうふ・ころもをつけた魚やさや豆の天ぷら)
3 かまぼこ
4 カシティラかまぼこ
これらの料理のうち七品、または九品を入れた重箱を二重ねと、三列にもちを十五個詰めた重箱二重ねを正式の「ウサンミ」として、これを「チュクン」(一組)とよんでいる。
もち重一重ねとごちそう重箱の一重ねを「カタシー」(片しー)という。
チュクンとカタシーは、それぞれの行事によって使い分けることになる。
参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 スーコーとトートーメー
スポンサーリンク
-
- 絵でみる 御願365日
むぎ社編
サイズ:A5変形/184ページ
定価:1,760円(本体1,600円)
- 沖縄行事料理とふるまい料理
家庭料理友の会編
サイズ:A5判/184ページ
定価:1,760円(本体1,600円)
- 福を招く家づくり墓づくり
著者:田中花朱 虹水 共著
サイズ:B6判/200ページ
定価:2,200円(本体2,000円)
- 沖縄祝い事便利帳
著者:座間味栄議
サイズ:B6判/180ページ
定価:1,650円(本体1,500円)
-
- 沖縄の聖地
著者:湧上元雄・大城秀子
サイズ:B5判/156ページ
定価:2,750円(本体2,500円)
- トートーメーQ&A
著者:座間味栄議
サイズ:B6判/207ページ
定価:2,200円(本体2,000円)
- スーコーとトートーメー
著者:座間味栄議
サイズ:B6判/208ページ
定価:2,200円(本体2,000円)
- 三山とグスク
著者:座間味栄議
サイズ:B6判/304ページ
定価:1,936円(本体1,760円)