沖縄人の考える 琉球の神々 その4

生身の人間を神として崇める、俗にいう「現人神」。 現人神とはこの世で人間の形をしている神のことをさすのだが、言うまでもなく、その昔天皇の象徴として使ったバカバカしい意味ではもちろんない。 女姉妹の霊力が男兄弟を守護するとされる「おなり神」がそうであるし、神の霊力をおびた特定の人間が神となる神人(カミンチュ)も現人神だといえよう。 おなり神信仰では姉妹が白鳥になって兄弟の危機に際して命を救ったとする説話がよく知られている。姉妹には兄弟の長寿と安全を保証し、その作物の豊穣をもたらす霊威があると信じら … 続きを読む

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沖縄人の考える 琉球の神々 その3

祖先が年忌や重ねた世代の数によって神格化(神さまの地位)し、祖先神(ウヤファーフジ)としてまつられる神。いわゆる祖先神である。 ただ、沖縄では人が死ぬと数週間で神になるとされる地域と、七代を経て神となるとする地域があり、神格化する年数や世代数にちがいがある。 もっとも多いのが三十三年忌(ウワイスーコー)を経て神となるとされる地域である。仏教の影響が大きいのだろうか。 祖先神となった祖霊は個性(特定の人物を示すこと)は消滅してしまうのが一般的だとされている。したがって、ウワイスーコーを経たウヤファ … 続きを読む

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沖縄人の考える 琉球の神々 その2

【2】人間界に存在し、人びとの生活と深くかかわりのある神 われわれが日常にくらしている生活空間にあって、人間社会と深くかかわりを持ちながら、生活を支えてくれる神々。 (1) 火の神(ヒヌカン)……もっとも身近に存在し、広く深く信仰されている神。さまざまな権能が付与されているが、特に家を守り、家族を加護してくれると信じられている。 (2) フールの神……豚便所に宿るとされる神で、屋敷内に存在する神々の中でもっとも権威があると神として信仰されている。屋敷の御願の際にも必ず拝まれるが、マブイグミの儀式 … 続きを読む

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沖縄人の考える 琉球の神々 その1

古代より沖縄の人びとは、自然界には自然を超えた、人間界には人間の能力をはるかに超えた存在として神々を認めて、語りかけ、その声に耳を傾けてきた。 【1】人間界とは明らかに異なる神々 (1) 天上界のオボツ・カグラより天降る「天神(てんじん)」 俗に「ウティンヌカミ」とよばれる神である。オボツは神の存在するところを示し、カグラは神の座をあらわすと解されている。 (2) 海の彼方にあるとされる神郷のニライカナイより訪れる「海神(かいじん)」俗に「リューグ」あるいは「ニレーリューグ」などとよばれる神であ … 続きを読む

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ウコー(線香)

線香は「身体から発する不浄な臭いを消し、心身を清める」という意味があるという。 からだに香を塗り、香を焚きあげて体臭を消す習慣が古くからインドにあったとされている。インド人は風呂に入らないという俗説が巷間伝えられている。現代インド人がそうだとは思えないが、古くはそうした習慣があまりなかったのも事実であろう。 このような風習が仏教の中に取り入れられ、線香で身を清めてから仏の供養にあたるという習慣が日本にも定着したようだ。 それでは沖縄のウコーはどうであろうか。 ヒラウコー(クルウコーとも)と呼ばれ … 続きを読む

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シンプルに考えよう

御願というものは、「ウヤファーフジ(祖霊)や身の回りに宿る神々に手をすり合わせて祈る沖縄人の素朴な信仰心のあらわれ」であり、形式にこだわらない「心からの祈り」であったはずだ。 このことは「ミーマンティ ウタビミソーリ」(見守ってください)と、乞い願う主婦の祈る姿にみごとに映し出されているといえよう。 我々沖縄人の信仰する神々は、ご説ごもっともな教えをたれることはないし、ウヤファーフジは人間の功徳をあれやこれやと説き明かすこともしない。ひたすら祈れば、耳をそば立ててひたすらに聞いてくれるだけだ。 … 続きを読む

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御願にまつわるあれやこれやの話

おじぃおばぁが口にする「古くからのならわし、しきたり」なんぞ、因襲にまみれた陋習(ろうしゅう 悪習)にすぎないと切って棄てるのは簡単。ただ切り捨てご免だけでことが済めばよいのだが、そう単純でもない。 おじぃおばぁのみならず、今を生きる我々の世界は、数学のように明快な答えのないものごとが多い。 どれが正しく、どれが正しくないのか。左か右か。上か下かという問答をいくら繰り返してもなかなかラチがあかない。御願の世界はまさにその典型だといえる。そこへもってして、霊能者の考え方が暮らしのすみずみまでゆきわ … 続きを読む

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