沖縄人の考える 琉球の神々 その4

生身の人間を神として崇める、俗にいう「現人神」。
現人神とはこの世で人間の形をしている神のことをさすのだが、言うまでもなく、その昔天皇の象徴として使ったバカバカしい意味ではもちろんない。

女姉妹の霊力が男兄弟を守護するとされる「おなり神」がそうであるし、神の霊力をおびた特定の人間が神となる神人(カミンチュ)も現人神だといえよう。

おなり神信仰では姉妹が白鳥になって兄弟の危機に際して命を救ったとする説話がよく知られている。姉妹には兄弟の長寿と安全を保証し、その作物の豊穣をもたらす霊威があると信じられている。

神人は一般的には村落祭祀を担当する神役の総称として使用されるが、その最高位がノロ(祝女)である。
祝女は神の霊威を生まれながらに持つ(サーダカンマリ)と考えられている。
祝女の下に根神(ニーガン)のほかに多くの女性神人がいる。男性神人に比べて儀礼上の地位は高い。

祝女制度が廃止されて以来、神人の地位も相対的に低くなったが、現在でもなお村落祭祀で中心的な役割を担っている地域が多くある。

〔次回 8月22日|オボツ・カグラ〕

参考書籍:

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