ユタ発生の謎その3 ノロが先かユタが先か

沖縄人が集団で生活を営むようになったころ、その集団の祭祀を担ったとされる「根神」や「ノロ」などとよばれる神女とユタは深くかかわっていたと考えられている。
根神(ニーガン)とは、村落で行う祭りや行事などを司る神女である。とは言っても根神の司祭する村落の規模はごく限られたもので、後世のようなたくさんの戸数をかかえた共同体ではない。このような根神をたばねて指揮し、祭りを司ったのがノロである。いわば根神の発展した形がノロだともいえる。

小規模の村落において、根神やノロとよばれた神女が祭りを司る役割を担っていたのは当然だが、そのほかにも死者の埋葬や供養といった家族にかかわることまで深く関与していたと考えられている。あるいはひょっとして、現在では主としてユタの行う領域だと考えられている卜占(ぼくせん)などといった呪術まで行っていたのかもしれない。

そうなると、当時の根神やノロと霊能者と見なされていたユタがほとんど類似した行為をしていたということになる。
ところが、尚真王代になって神女が一つの組織としてまとめられ制度化されるようになると、一方は所得の保証された(官制的神女)としてもっぱら神事を担うようになり、ノロとよばれるようになり、他方組織からはじき出された者は個人的な要望に応えて死者儀礼や供養、呪術などを行う専門家としての道を歩むようになり、ユタとばれるようになる。

〔次回 5月28日|ノロの役割とユタの役割〕

参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり

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