ユタ発生の謎その2 ノロが先かユタが先か

ノロが先かユタが先かをさぐるためには、まず歴史をさかのぼらなければならない。
古代沖縄人が集団生活を営んでいた頃、その集団の祭祀を担っていたと考えられている「根神」(ニーガン)とのかかわりを明らかにしなければならないからだ。

根神とは、村落で行う祭りや行事などを司る神女のことである。とはいうものの、当初、根神の司祭する村落の規模は極めて限定的で、現在のような大規模の共同体ではなかった。
ところが共同体が大規模化してくると、祭りを司祭する神女(根神)も複数存在するようになる。
こうした複数の神女をたばねて、より大きな共同体の祭りや行事を司祭する根神の中の根神たる神女が登場してくる。
このような神女をノロとよぶようになる。いわば、根神の発展した形がノロだともいえる。

小規模の村落においては、根神や初期のノロと呼称された神女が祭りを司ることは当然だが、そのほかにも、死者の埋葬や供養といった個人的なことまで深く関わっていたと考えられている。
あるいはひょっとして、現在ではもっぱらユタの行う領域だと考えられている卜占(ぼくせん)などといった呪術まで行っていたのかもしれない。
そうなると、当時は根神やノロとユタがほとんど類似したことを行っており、現在のようにはっきりと分化していなかったということになる。

〔次回 4月6日|ユタ発生の謎その3 ノロが先かユタが先か〕

参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり

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