ノロの役割とユタの役割 その2

一方が所得の保証された神女(ノロ)として組織化されていく中で、それとは逆に組織からはじき出され、共同体を司祭するという職務を失った神女(ユタ)は、人びとの日常の暮らしと密接にかかわることで活動の場を見出していく。

死の穢(けが)れを忌み嫌い、死者への儀礼や供養から身を引くようになったノロにかわって、積極的にこれからのこととかかわりを強め、個人的な求めに応じて呪術などもおこなうようになっていく。

こうしたことが、生来的に備わっていた霊的能力にいっそう磨きをかけることになった。そして、カミや祖先の霊の住む聖なる世界の専門家としての地位を確立していくようになる。
その結果として、独自の「カミの世界」、「霊魂の行きつく世界(グソー)」という観念を生み出していく。それだからこそユタは、自らが生み出した観念の世界を具象的に語り、描き出して見せるわけだ。

ユタの語るこれらの世界を、単なる「タワ言」だと一笑に付してしまう人も少なくないのだが、このような考え方の根底になっているのが「死者の霊は生きている者の運命をも左右する力をもつ」という沖縄人の霊魂観であることを忘れてはなるまい。

〔次回 9月17日|ユタになるまで〕

参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり

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