ユタグトゥのほとんどが死後の世界、沖縄人の言うところの「グソー」(後生・あの世)が存在するということが前提となって成り立っている。それだから、死後の世界を否定しては「ユタグトゥ」そのものが成立しないということになる。
私たちが漠然と頭の中に思い描く死後の世界を、あたかも見てきたかのように、あるいは体現してきたようにリアルに描写して見せる能力をもつのがユタともいえる。ユタの異能ともいえよう。
大きなアクビ(ユタによってバリエーションがある)が合図でもあるかのように、祖先の霊あるいは死者の霊がユタに乗り移り(憑依現象の一つ)、グソーの世界を描き出す。「グソーの七段階」とか「七役場」などという、俗に言うところの「ユタクトゥバ」が飛び出してくる。
ぼんやりとしていたグソーの世界が、霊の世界が、この世と同じように現実感をもって迫ってくる。
ユタになるまでには、カミダーリを経験するといわれており、その状態のときに修行を積むのだが、その中で、グソーの世界に住む祖先の霊と接触、あるいは直に交流する能力をみがくといわれている。それだから、ユタは、死後の世界を実際に見てきたかのようにリアルに描き出せるという訳だ。
確かに異能といえるのだが、あくまでも修行を重ねる中で自ら開発した能力ともいえる。
〔次回 2月6日|ユタの描くグソー〕
ユタのもつ異能
参考書籍:
カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業)
タグ: グソー, グソーの七段階, ユタクトゥバ, 七役場
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