ンニアギ(棟上げ)

工事中の吉日を選んで、満潮にむかう時刻を見はからって行われる。 棟木に棟札(紫微鑾賀)を打ちつけ、それに紅白の紙(布でも)で包んだ米と塩を両はしに、真ん中に木炭をコンブで巻いたものを吊り下げる。米は赤い紙で塩は白い紙で包む。 ヒジュルウコー(白紙にタヒラを置く)、酒、花米、ごちそうをそなえ、工事中の安全と望み通りの家が完成することと、家族の健康と家の繁栄を祈願する。 家づくりの節目という意味もこめて、家主が関係者に祝い酒と赤飯、吸いもの、イリチャー、酢のものなどのごちそうをふるまう。 この儀礼は … 続きを読む

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ハーヤタティ

工事が始まり、礎石のすえ置きが終了すると、建物の中心となる柱、いわゆる大黒柱を立てて、家主と工事関係者のみで「ハーヤタティ」(柱立て)の祈願をする。 吉日を選定し、満潮にむかう時刻を見はからって行う。 ヒジュルウコー(火を点けない線香)タヒラをシルカビ(白紙)にのせ、酒・花米・カティムン(ごちそう)を膳に盛りつけておそなえし、工事の安全と上天に恵まれ作業がとどこおりなくすすむよう、棟梁が祈願する。その際には工事関係者一同も作業の手を休めて見守る。 晩には「ハーヤタティスージ」とよばれる小宴がはら … 続きを読む

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浄めの儀式

安全祈願が終了すると、家主と棟梁が祭場にそなえた木材を、手斧あるいはのみやげんのうで3回たたく。その後に、米と塩を屋敷の周囲にまいて儀式は終わる。 儀礼の最後は「ティンダティスージ」(ティンダティユーエーとも)とよばれる宴がはられ、参列者にささやかなごちそうと祝い酒がふるまわれる。ごちそうは肉・とうふ・天ぷらはつきものだとするのが古くからの習わしであった。 現在では、先に述べた「ヤシチヌウグヮン」と「ティンダティ」をまとめて、本土式の地鎮祭として営むケースが増えてきたようだ。 かってはこの儀礼に … 続きを読む

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ティンダティ(起工式)

今流にいえば「起工式」ということになろう。家づくりの工事に着工する前に吉日を選んで満潮にむかう時刻に合わせておこなう。 祭場となるのはナカジン(中陣)となる場所に大工道具であるのみとかんな、用材を数本、それに筆・紙・墨を並べて置き、ヒジュルウコー・酒・花米・塩をそなえる。 そこで大工の棟梁(家主でも)が家づくりにあたっての安全祈願をする。 そのとき、「今日の良き日に着工いたしますので、そこで働く方々にけがなどがないように無事に完工させてくださいませ」と唱え、工事の無事終了を祈る。 祈願をすませる … 続きを読む

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家づくりの儀礼 その4

ユシンは「ウヌファ(東)」→「ウマヌファ(南)」→「トゥイヌファ(西)」→「ニヌファ(北)」の順に拝む。 拝み終わると、あらかじめ用意しておいた清めの米、塩、人によっては煎り豆を北の方にむけてまき、土地を清めていく。 土地の清めが終わったら、きちんと結界を張る。結界とはそもそも仏教用語で坊さんが修行するときにその行動の範囲を定めて出入りを制限することばとして使用されるが、ここでは「ヤナカジ・シタナカジ」などが入り込んで土地を汚さないようにするためと、土地の境界を明確にするという目的がある。土地の … 続きを読む

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家づくりの儀礼 その3

新しく手に入れた土地(屋敷地)の場合は、屋敷の御願とともに、土地を清める御願もおこなう。 土地を清めるには海の砂がもっとも効果的だとされているが、近年は海の砂のかわりに米や塩、あるいは煎った豆が使用されるケースが多くなった。 ビンシーと供物を持って「ユシンヌカミ」(四隅の神)、「ジョウヌカミ」(門の神)、「ナカジンヌカミ」(中陣=中央の神)の順に拝む。 それぞれの神に、この屋敷をクガニヤシチ(黄金の屋敷)、ナンジャヤシチ(白銀の屋敷)にすることを誓い、土地と家が末長く守護されますように祈る。 ● … 続きを読む

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家づくりの儀礼 その2

地域によっては現在でもなお、家づくりを始める前に工事中の事故、家族の病気などといった理由から、「ヤシチヌウグヮン」を必須の条件とする人が多い。 あるいはまた、新築の家に「嘉利」(カリー)をつけるという意味からもヤマト式の地鎮祭ではなく、沖縄古来の「ヤシチヌウグヮン」でなければならないと考える人もいる。住宅地として使用された経歴のある土地に新築する場合は、整地終了後に吉日を選定して「ヤシチヌウグヮン」をする。 シルカビの上にヒラウコー(タヒラ)を置いて(ヒジュルウコー)、酒、花米、ごちそうを盛りつ … 続きを読む

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家づくりの儀礼 その1

家づくりの儀礼の中核を成すものは「ヤシチガミ」(屋敷神)への祈願であり、工事中の安全祈願であり、そこに住む人たちの健康と繁栄を願う祖霊への祈願が中心となる。 家・屋敷を守護してくれると信じられているカミガミは、一般的には「ユシンヌカミ」(四隅の神)、「ウジョウヌカミ」(御門の神)、「ナカジンヌカミ」(中陣の神)、「フールヌカミ」(豚便所の神)そして「カーヌカミ」(井戸の神)である。 フンシーミー(風水をみる人)やサンジンソウ(三世相)などによって屋敷地の吉凶を占ってもらい、家屋・門などの位置を決 … 続きを読む

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沖縄的披露宴

特徴は、招待客の数と規模の大きさであろう。 200~300人はごく普通で、400~500人も珍しいことではない。100人もいれば大規模な結婚披露宴だといわれる他府県人から見れば、さぞかし有名人の披露宴だと勘違いするのも無理からぬことである。 高砂と称されるメインテーブルに新郎・新婦が座するのは当然だとしても、どういう訳か媒酌人、両家の両親も座る。高砂は言うまでもなく上座であり、招待する側が招待される側より上座を占めるという奇妙な風景が見られる。 披露宴会場として専用のホールを利用するカップルがほ … 続きを読む

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戦後の結婚式事情

今まで見てきたように、戦前の婚礼儀礼は盃事、ミジムイ、ユレーウブンなどといった夫婦固めの儀礼もすべて、男性方の家の二番座でおこなわれていた。 戦後になってこのような家庭での結婚式は急速に減少し、婚礼の挙式方法も神前・仏前結婚がふつうにおこなわれるようになった。そうなると古式にかわってヤマト式の三三九度となるのは自然の流れというものであろう。 戦争をはさんで婚礼の挙式方法も大きく様変わりしたが、披露宴もすっかり変わってしまった。 戦前からニービチスージに近親者を招くという風習はあったが、今日見られ … 続きを読む

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