沖縄的占いは、十二支を基本とした「干支占い」と霊能者による「霊感占い」の二つに大きく分けられる。とくに沖縄では、中国の「十二支思想」の影響を強く受けて、干支占いは当然だが、霊感占いでも生まれ年の干支が大きくかかわってくる。そのほかにユタや霊感によらない占いとして「米粒占い」や「タンカー占い」などといったものがあるが、それを知っている人も少なくなってしまった。
沖縄で伝統的に占いを専門としていたのは、「フンシーミー」とよばれている風水師、「サンジンソウ」とよばれる易者、そして「ユタ」とよばれる霊能者である。
フンシーミーは、もとは中国の風水思想を沖縄に導入した人たちで、屋敷風水や墓地風水にたずさわっていた。敷地の立地、方位・方角、工事の日取り、建築主の運気まで占い、判断していた。
サンジンソウは、多くは男性で、別名を「スムチャー」(書物の意味)とよばれることからも分かるとおり、易学によって現世(イチミ)にかかわることを占っていた。
もっとも得意とする分野は、運勢判断である。年の始めに一年間の家族の運勢を占ってもらうことを「ハチウンチ」というが、そのハチウンチはサンジンソウの専売特許であった。
ユタは今や全国区となり、つとに有名になった。その霊的能力は日本のシャーマニズムの中でも特異なものだという評価を受けている。
子どもの非行、結婚、就職、金銭トラブルなど家庭のもめごとから、身体の不調、事故の原因、死者に対する儀礼からグヮンスグトゥとよばれる祖先祭祀にいたるまで、占いの対象になることがらは驚くほど多い。
このようなことから、現在でもなお、人びとの日常生活と切っても切り離せない存在でありつづけている。そして、かっては「フンシーミー」や「サンジンソウ」の占い領域であった分野まで、ユタ占いの対象となっている。
ユタに占ってもらうことを「ユタを買う」あるいは「ハンジをとる」などというが、その主役はふつうの家庭の主婦である。とくに、祖先祭祀にまつわることや、さまざまな問題で悩む主婦は多く、自分で判断つかないことに対しては「ユタのハンジをとる」という昔ながらの生活習慣が、今なお健在しているということになる。
ユタのことを、別名「ムヌシリ」(物知り)とよぶように、その博識ぶりは驚異でさえある。どくとくの方法で得た知識と、生来そなわった霊力を駆使してユタの占う領域は、ときとして「ハダカユー」とよばれる原始沖縄の時代までさかのぼる。
人心を惑わすということで、ときとして女性団体やマスコミなどを中心として「ユタバッシング」がまきおこったりするが、その程度のことでユタの地位はゆらがないのである。
参考書籍:まるごとわかる!ユタ
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