ルールその1

理想的なトートーメーの継承を実現するために、四つのルールが定められていることは前回で述べた。
四つのルールの中でも、筆頭に位置するのが「嫡男継承」である。

いかなる理由があっても、トートーメーの正統な継承者は長男でなければならないとする考え方である。その考え方を反映させたのが、一つの世代で一組の夫婦のみをトートーメーとしてまつるという「トートーメーの理想的なまつり方」である。
長男によって代々にわたって継承され、長男夫婦のみが祖先としてまつられるトートーメーこそ、沖縄人の描くトートーメーの理想の形というわけだ。

ただ、現実的には、いろいろな理由によって嫡男継承が実現できない場合が出てくる。この場合でも、さまざまなルールを定めて、できうるかぎり理想に近いトートーメーの継承を実現させようとするわけである。  その実例が、トートーメー継承を目的とした養子取りや幼児死亡の位牌祭祀禁止などである。

長男が幼児死亡した場合(7歳以下とする地方が多い)は、位牌を仕立てずウコールのみでまつる。
したがって、トートーメー継承者としての長男の地位を与えないことになる。
また、長男が独身のまま死亡した場合は、兄弟の子(甥っ子)などを養子として長男の地位を与え、トートーメーの継承者とする。
男子がいない場合は、たとえ娘がいたとしてもトートーメーの継承者としては認めず、血縁者の中から養子を取り、同じように長男の地位を与え、トートーメーの継承者とする。

いずれの場合も、長男継承という理想の形を実現するために定められたルールである。
こうしたルールを無視してトートーメーの継承者を選んだ場合は、祖先の霊は供養を受けることができず、常に御願不足の状態となり、その結果、祖先の怒りを買い、子孫に祟りがあると考えられているのである。

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日

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