第43回 祝い事に描かせない「かぎやで風」と「カチャーシー」

沖縄の祝い事の幕開けを告げるのは「かぎやで風」である。
トゥシビー」であろうと、「結婚披露宴」であろうと、「墓のシースビーユーエー」であろうとも変わりはない。
「かぎやで風」は、お祝いの座の最初に演奏され、踊られる演目の一つとしてつとに有名である。国家の繁栄・五穀豊穣を祈り、子孫繁昌そして航海の安全などを願い、琉球国王の前で歌われた「御前風」五曲のなかの一曲である。

沖縄の結婚披露宴でも、これがないとはじまらないともいわれるほどで、親戚縁者で「かぎやで風」を踊るのが一種の流行のようになっている。にわか仕込みの素人芸の域を出ないことが多いのだが、それでも祝い客の視線を釘づけにする。
もっとも最近は、それがためにわざわざ琉舞道場通いをする人もいると聞く。

祝い事をしめくくるのは「カチャーシー」である。飛び入りで誰でも参加できる群舞である。
それだから老若男女が入り乱れて踊る。その中にあって年輩の女性たちの踊りはやはり圧巻である。
だらだらと続く・出し物・にやや倦いた祝い客も、指笛をならし、体でリズムをとり、通路で踊り出す者も出る。
祝い事の定番ともなっている幕開けの「かぎやで風」としめくくりの「カチャーシー」は、沖縄の結婚披露宴を演出する上でなくてはならないものなのだろう。

〔次回 11月15日|第44回 家のたたずまい〕

参考書籍:トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 沖縄祝い事便利帳

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