ウグヮンブスクと成仏

浮かばれない霊を慰め、悟りを開かせ、成仏できるようにする最善の方法が「ウグヮン」(御願)だとするのがユタ社会における基本的な考え方である。
成仏できないもっとも大きな原因が、死者の霊に対する慰めや供養が十分にできていない、あるいは行き届かないために起こる「ウグヮンブスク」だというのである。

慰めや供養が十分にできていないということは容易に理解できよう。チィタチ・ジュウグニチにウチャトゥの一杯もあげない、節々の行事に線香の一本もあげないようでは慰めにも供養にもならないだろう。よく分からないのが慰めや供養が行き届かないということだ。
ユタ社会でよく「ウグヮンが通らない」と表現する。

チィタチ・ジュウグニチはもちろんのこと、節々の行事でもきちんと供物をそなえ、祈願してもそれが死者の霊の慰めにもなってないし、供養にもならない。従って、いつまでたっても成仏できないでいる。つまり浮遊霊の状態のままいるということだ。
最大の要因とされるのが、死者の霊が正しく祀られていないということだ。誤って祀られた霊は、生者の慰めや供養を受けることができないとされている。それだから、どれだけ祈願を重ねても、常に「ウグヮンブスク」の状態にあるというわけだ。

〔次回 2月27日|ウグヮンとユタ〕

参考書籍:

カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業) | タグ: |

スポンサーリンク