斉場御嶽 その3 寄満、三庫理

大庫理前をすぎると参道は左右に分かれる。向きを左手にとり、まわり込むように奥に向って進むと、突き当たりに鍾乳石の垂れた巨岩が見えてくる。ここは嶽内の北側の一番奥になる。
巨岩の岩陰に奥行き3m、長さ7mほどの平らな石を敷いた拝だんがある。寄満(ユインチ)とよばれている拝所である。台所を意味する名称だとされているが、実際に台所としての機能を果たしていたという伝承はない。

俗称「馬グヮー石」と呼ばれているように馬形をしたやや白っぽい霊石(ビジュル石)が安置されている。この石の軽重によって、その年の作物の豊凶を占ったとされている。
寄満から先ほど分岐した地点にもどり、左手の東南の方向に進むと、小広場に至る。右手に鍾乳石が2本前後するように垂れた巨岩が見える。
前の鍾乳石が「雨たゆるあしかの美御水(ヌウビィー)」で、アサカ(聖木の一つ)を頼って流れ落ちる霊水という意味である。

後ろの鍾乳石が「しきよたよる雨が美御水で、シキョ(聖木の一つ)を頼って流れてくる天の霊水の意味。斉場御嶽の「御水」(ウビィ)とは、この両鍾乳石より落ちた水のことである。
2本の鍾乳石につづくのが、斉場御嶽の象徴として、よくとりあげられる逆V字型の洞門である。洞門の奥が「三庫理」である。右手の南東に面した岩壁が「チョウノハナ」(キョウノハナとも)で、岩壁を通して天空を拝む。

〔次回 11月19日|薮薩御嶽 その1〕

参考書籍:沖縄の拝所 沖縄の聖地

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