妊婦のいる家では、赤ちゃんが無事に生まれることを願って、妊婦やその夫は日常生活を送るうえで、さまざまな制約をうけた。それが各地に伝わる「妊婦およびその夫は……してはいけない」という禁忌である。
数ある中で、もっとも重い禁忌が「死の忌」にふれてはいけないということだ。
1 臨終に立ち会ってはいけない。
2 死者を見てはいけない。
3 葬列に加わってはいけない。
いずれも死の穢れが生まれてくる赤ちゃんに悪影響を及ぼすことを怖れたからであろう。
そのほかに、よく知られた禁忌としては「妊婦は馬の手綱をまたいではいけない」とか、「手ぬぐいを首に巻いてはいけない」というのがあるが、難産の原因になるとされている。
沖縄でも戦後になって、本土から腹帯をしめる習慣が伝えられて以来、ごく当り前のようにサラシを巻くようになったようだが、それまでは臨月に入るまで腰をきたえ安産にそなえるという考え方が一般的であったようだ。特に農村部では積極的に農作業を行ったという。
〔次回 11月19日|トゥシビー〕
安産祈願
スポンサーリンク