ハチアッチーとヒヌカン

生まれた子を抱いて初外出することを「ハチアッチー」(初歩き)という。手っ取り早くいえば生後初の母子の里帰りということだろう。ふつう、生後1ヵ月前後におこなわれる誕生儀礼の一つだが、地域によっては決められた日におこなうとするところもあるようだ。

その日の家を出る前に「ヒヌカンガナシ ハチンジャーサビィクトゥ カラダキミソーリ」と唱えて火の神を拝み、赤ちゃんの額にナベのすすをつけた。そして魔よけとして母親のふところに弓やハサミ、小刀などをしのばせた。

すすをつけるときには「アンマークートー ターン ンジュナヨー」などという呪文を唱えた。初外出する赤ちゃんがおびえたりしないようにというまじないである。母親のふところにしのばせた呪具は物の怪を祓うという意味があった。

母親の里に着くと、親類縁者がかけつけて、ささやかな祝儀を赤ちゃんのふところにしのばせた。祝儀のことを「マースデー」と呼ぶが、穢れを祓う願いを込めて塩を包んだ美風に由来する。マースデーは現在でも年輩者は口にする。

〔次回 6月10日|タンカーユーエーとヒヌカン〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 絵でみる 御願365日

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