出産を終った母親が、生まれた我が子を抱いてはじめて外出することを「ハチアッチー」という。
生まれた子のお披露目という意味であって、本土の初宮参りとは異なる。
ハチアッチーは、産後1ヵ月ほど経ってからおこなうのがふつうだが、地域によっては男の子は庚(かのえ=入りガニー)、女の子は辛(かのと=出ガニー)と日にちが決まっている。
いずれにしても、出かける前に母親は赤ちゃんを抱いてヒヌカンにむかって祈願する。そして出かける赤ちゃんの顔にナベやカマドのすすをつけながら、祖母が呪文を唱える。母親のふところや風呂敷にはハサミや小刀をしのばせる。魔よけのためである。
母子をむかえる里では、親戚縁者はもちろんのこと親しい隣近所の人たちもかけつけて、ささやかな祝儀を赤ちゃんのふところにしのばせた。
祝儀は「マースデー」とよばれていた。本来はバショウの葉に塩そのものを包んだところから「マースデー」とよばれるようになったようだ。
現在では塩のかわりに金品を包むのが当り前となっているが、それでもマースデーとよぶ者が多い。生まれた子のすこやかな成長を願う人びとの純朴な想いが伝わることばの一つである。
〔次回 4月9日|タンカーユーエー〕
ハチアッチー
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