「ナージキ」

出産した夕方から7日目までの間に「ナージキ」とよばれる命名の儀礼がおこなわれる。いわゆる「命名式」だ。
ただ、ナージキの儀礼で命名される名まえは、ワラビナー(童名)で、戸籍に記載される本名ではない。
したがってワラビナーをつける風習がすたれてしまった現状では「ナージキ」の儀礼も沖縄社会から姿を消してしまった。
消えた習俗の一つになってしまったというわけだ。

ナージキの儀礼はふつう、祖母が中心になっておこなわれた。
供物をそなえた「ヒヌカン・トートーメー」の前でおこなわれる儀礼と、小道具を使って「ナー」(庭)で行われる儀礼と二つに分けられる。また、二つの儀礼に先立って、ワラビナーをつけるための占いをおこなうのも伝統的な風習の一つであった。

占い方法は地域によっていろいろあったようだが、代表的なものは米粒占いだろう。
ヒヌカンにそなえた花米(米粒)からひとつまみつまんでかたわらにおく。
つまんだ数が奇数であれば希望通りのワラビナーで決まる。あるいはつまんだ米粒を二カ所に分け置き、その数がともに奇数か偶数で一致すれば希望通りのワラビナーで決まりというもの。

希望するワラビナーは、長男・長女であれば父方の祖父母の名を、二男・二女であれば母方の祖父母の名をつけるのが一般的であったようだ。
ワラビナーが決まると、小道具を使ったナーでの儀礼に移る。

〔次回 8月29日|ナー(庭)での儀礼〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 沖縄祝い事便利帳

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