31 「チヂアワセ」

カミダーリの初期の段階では、さまざまな声や音がまざり合って聴こえ(幻聴)、その正体はおろか意味もほとんど不明だとされている。 分かりやすく言えば、ノイズ(雑音)のひどいラジオを四六時中聴いている感覚だといえよう。 それだから、頭痛に悩まされ体調不良をおこしても不思議なことではない。それが長期間に繰り返されるというのだから、その苦痛は一般人の想像を超えているのであろう。 しかし、こうした現象を繰り返し体現することによって、まざり合った声や音の中からカミや祖霊からの声(メッセージ)を聞き分けられるようになるという。ありていに言えば、一つのコツを覚えるということなのだろう。 一方では、夢の中に出てくる「シラシ」や「不思議な体験」を、それがどのような意味をもつのかを悟っていくようになるともいう。 それを彼ら独得の表現で「カンをとる」という。要するに、それらの現象を自分流に意味づけしていくわけだ。 そして、自分の下した判断が間違っていないかどうかを確認するために、複数のユタのハンジを取り、照らし合わせていく。これを「チヂアワセ」とよんでいる。 チヂアワセによって間違いが見つかれば、それを修正していく。 〔次回 8月29日|32 チョウブ〕

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