子どものいない場合のトートーメーの継承
結婚はしたけれども子どもができない場合、当然のことながらトートーメーの継承者がいないということになる。 このままの状態では家は断絶し、トートーメーは祀る人がいないままヒジュルイフーフェー(冷たい位牌)となってしまう。これは沖縄では最も忌み嫌われている。 もっとも望ましいのは早いうちに養取り(養子を取ること)して継承者を決めておくことだ。 ただし、この場合はこれまで述べてきた四つのルールが守られている事が条件となる。つまり、養取りにも一定の条件が付されるということだ。 養子は父方の血筋をひく男子に限られるということになる。 優先順位としてふつうの場合、 1)兄弟の子どもの中から男子を養子にとり継承者とする 2)いとこの子どもの中から男子を養子にとり継承者とする 3)門中の中から男子を養子にとり継承者とする 父方の血筋をひく男子を養子にとり継承者とすることに変わりはないのだが、血縁者の範囲を広げていくことになる。 いずれにしても養子を取る相手方に二人以上の男子がいることが絶対条件となる。 復帰前であればだいたいこの範囲で養子となる男子が見つかったのだが、近年の少子化社会では容易なことではない。 いずれの方法でも継承者が決まらない場合、最悪のヒジュルグヮンスをさけるために、近い血縁者が一時的にトートーメーをあずかり(アジカイグヮンス)、次の世代まで継承者があらわれるのを待つケースがほとんどである。 〔次回 1月2日|長男が未婚のまま亡くなった場合〕








