イナググヮンスとは

イナググヮンスとは、文字通り解釈するならば「女性の元祖」であり「女性の位牌」ということだ。
女性が元祖になるケースとしては、ふつう思いつくケースとしては、未婚のまま亡くなった女性の位牌、あるいは離婚して実家にもどり亡くなった女性の位牌だろう。

沖縄の場合、トートーメーの継承問題とからんで、生家を娘が継承することや、女子が家(ヤー)を創設することを忌避する風習がある。
従って、生家に娘しかいない場合でも、娘を婚出(嫁がせること)させ、同じ門中内から男性を養子にとり、家を継承させることを原則としている。この場合の家の継承とトートーメーの継承は連動すると考えられているからである。

沖縄の位牌祭祀の理想型は、仏だんに安置される位牌立てにおいては一世代一夫婦の原則、家の継承者としての男子は、父系出自に連なり、直系親族であるという原則、二つの原則につらぬかれているのが望ましいというものである。
娘しかいない場合でも、その娘を婚出させて、同じ門中内とはいえ、わざわざ養子を取って家を継がせるのは、二つの原則を貫徹しようとする強い意思が働いているからにほかならないといえよう。

〔次回 6月18日|独身のまま亡くなった女性の位牌は?〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日

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