沖縄最大の御嶽「クボウの御嶽」

豊かな自然林がやわらかな稜線をつくる森が、今帰仁グスクの南側にひろがる。
その森の一つが、地元で「ウガーミ」と称され、「久芳嶽」・「久方の嶽」・「コバウの嶽」とも呼称される「クボウの嶽」である。

かつては聖木クバが天を突き、広大な御嶽を守護していたといわれる。
麓に顔をのぞかせた山道を回り込むように10分ほども歩を進めると、御嶽の入口にたどり着く。
入口より10mほども奥に歩をとると、暗褐色の色合いを見せる古木が林立する小広場がある。ここが幽邃(ゆうすい)な雰囲気ただよう御嶽の祭場である。

ヤブニッケイ、リュウキュウマツ、ガジュマルなどの高木の枝葉が折り重なって天蓋をつくり、隙間をつらぬいた木洩れ日が足元で揺れる。大地にどっかと根をおろした古木の一本一本に神宿る思いにかられるたたずまいを見せている。

祭場の一隅には、ガジュマルの根元に石づくりの香炉が安置された拝所がある。その拝所の前面と一段下がったところには一畳敷と二畳敷ほどの座が設けられている。
上座はまつりのときにノロ以下の女神官が頂部にあるイビにむかって祭祀を執り行う旨を神に告げるところである。
当然のように男子禁制である。
男性の占めるところは一段下った下座である。
神に近づき、神を祀ることのできるのは、ひとり女性のみとする原始からの教えが営々として今日まで引き継がれている証左といえる。

〔次回 1月30日|クボウの御嶽素描 その1〕

参考書籍:沖縄の拝所 沖縄の聖地

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