前回シリーズでは「ユタになるまで」を31回にわたってお話した。
チヂアキの達成によって、それまで積み重ねてきた体験をもとにしてカミミチに踏み出す準備がととのい、ユタコーヤー(依頼者)の訪問をきっかけとして、いよいよユタ稼業に入っていく。それと同時にユタ修行が完結するということを述べた。
今回から、新しいシリーズとしてユタ稼業の実践をのぞき見ることにする。
ユタグトゥのことをあえて難しいことばで表現すれば「巫業」という。ユタの行なう業(仕事)のことで、手っ取り早く言えば「ユタ稼業」ということになろう。その範囲は驚くほど多岐にわたる。
その主なものを取り上げてみると、
1 家族の運勢判断、家や墓などを新築する際の日取りから方位・方角の決定。結婚する相手との相性。就職や転職、開業など仕事にかかわること。
2 心身の不調や幻視、夢見などの意味づけ。病気や事故などがウグヮンブスクによる「シラシ」、あるいは霊などの「サワリ」によるものなのかどうかの判断、そして対処法。
3 祖先祭祀、位牌継承にまつわるシジタダシなど、まとめてトートーメー問題。
4 マブイワカシ、ヌジファー、ヤシチヌウグヮン、マブイグミなどの儀礼等々。
そのほかに、子どもの進学から非行問題、夫婦間のトラブルなど、カウンセラーとしての役割をも担っている場合が少なくない。
〔次回 9月19日|「ユタヌヤー」(ユタの家)〕
ユタグトゥ(ユタ稼業) 第1回目
参考書籍:
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