23 シジタダシ その2

一般庶民にとって、自分の祖先の系譜をたどれるのはせいぜい6〜7世代である。それ以上の世代は確認する手立てがないのである。 家系図をひもとくと10代以上の先祖の詳細が記されているのも少なくはないが、その信憑性となると多くの疑問符がつくと言わざるを得ない。 多くの家系図がユタなどの霊能者のかかわりの中で作成されたものが多いからである。 さらに、一般庶民の文字による記録が可能になったのは明治以降の学制からだとされている点も、庶民の家系図の信憑性を低いものとしている事情があるからだ。 こうした背景の中で … 続きを読む

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22 「シジタダシ その1」

「シジタダシ」にはふつう「筋正し」という字をあてる。簡略していえば「シジ=筋」を「タダス=正す」ことである。 ここでいう「シジ」(筋)とは、血筋のことで、もっと狭い意味で父方(男系)の血筋のことをさす。 父方の血筋は、沖縄のトートーメー問題(位牌の祭祀と継承)の核心をなすものであり、位牌をまつり継承する際の絶対的な条件とされ、その条件を犯すものはタブーとされ、厳しく禁じられている。 万が一にもその禁を犯してまつり、継承されたトートーメー(位牌)は、過去にさかのぼってそれを正さなければならないと考 … 続きを読む

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22 「シジタダシ その1」

「シジタダシ」にはふつう「筋正し」という字をあてる。簡略していえば「シジ=筋」を「タダス=正す」ことである。 ここでいう「シジ」(筋)とは、血筋のことで、もっと狭い意味で父方(男系)の血筋のことをさす。 父方の血筋は、沖縄のトートーメー問題(位牌の祭祀と継承)の核心をなすものであり、位牌をまつり継承する際の絶対的な条件とされ、その条件を犯すものはタブーとされ、厳しく禁じられている。万が一にもその禁を犯してまつり、継承されたトートーメー(位牌)は、過去にさかのぼってそれを正さなければならないと考え … 続きを読む

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21 「セーズク」

「セーズク」とは催促である。 人智の及ばない事象を通して子孫に「シラシ」を発した祖霊は、子孫の供養を要求し、祖霊の正しいまつり方を求めていると解釈される。これを祖霊からの「セーズク」とよんでいる。 こうしたセーズクに応えることによって、祖霊は供養を受けて慰められ、怒りをしずめて子孫の病気を治し、災難を取り除いてくれると信じられているのである。カミダーリ状態の者が、クチアワセのためにとった数多くのハンジを手がかりにして祖霊からの「シラシ」や「セーズク」がどのようなことなのかを確認していく。いわば将 … 続きを読む

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20 「シラシ」

「シラシ」とは知らせである。 沖縄では、古くから人智の及ばない出来事が時としておこるのは、カミや祖霊あるいは悪霊などによる生きている者への「シラシ」だとする考え方がある。 もちろんこのような考え方を単なる迷信だと一笑に付してしまう人も多いが、かたくなにそれを信じている人も少なくない。 カミ、祖霊、悪霊のうち、今日でもなお沖縄人の日常生活と深くかかわっているのが祖霊すなわち、亡き祖先の霊である。 祖霊は家族の守護神として信仰を受ける一方で、家族の病気や災難、動物などの家屋への侵入などを通して、注意 … 続きを読む

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19 「クチアワセ」

ユタ修行の一歩を踏み出す決意を固めたカミダーリ状態の者は、いよいよ「カミグトゥ」を開始する。前にも書いたように、カミグトゥというのは祖先やカミガミに対する供養のための御願全般をさす。 カミグトゥを単独で行う者はほとんどいない。ほとんどの場合、親戚縁者の中からユタや御願ごとにある程度の知識を有する者に同行を頼み、「ユタ通い」から始めることになる。 この場合のユタ通いは、ある特定のユタのハンジに従って行動(御願)するためのものではない。 したがって、数多くのユタのハンジを取り、それを手がかりにして、 … 続きを読む

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18 「ユタ修行の第一歩」

ユタ通いだけでもかなりの出費を強いられるのに、さらにカミグトゥまで重なると、経済的な負担が大きすぎる。 カミダーリを一時でも早くハズしたい気持ちと、カミグトゥにかかわりたくないという気持ちがぶつかり合い、せめぎ合うことになる。 しかし、結局は苦痛から解放されたいという気持ちが勝り、ついにカミグトゥを始める決意を固めることになる。 カミグトゥを始めるということは、ユタになるための修行を一歩踏み出すことを意味する。

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17 「カミグトゥへの抵抗」

カミダーリを脱け出すためには「カミグトゥ」は必須の条件だと思い知らされても、おいそれとはカミグトゥを始めるわけにはいかない事情がある。 カミダーリの状態に入った瞬間から、当人の苦しみが始まり、家族や回りの者には大きな迷惑をかけることになる。そのうえにさらに、カミグトゥとなると、その払う犠牲があまりにも大きすぎるからである。 一家の主婦であれば、家事育児を投げ出し夫婦仲も険悪になる。その結果、一家離散ということにもなりかねない。事実、ユタの多くが離婚経験者である。 仕事に就いている女性であれば、よ … 続きを読む

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16 「カミグトゥの始まり」

カミグトゥというのは、祖先やカミに対する供養や御願全般のことをいう。心身の不調が続き、現代医学では原因をつきとめることができない。それなのに当人は苦痛を訴え、異常行動はおさまる気配を見せない。  そうなると、思いあまった家族はたまりかねてユタにかかることになる。いわゆる「ユタ通い」が始まることになる。当然のこと、一人や二人のユタではない。  「ムンナレーシーガ イチュン」(物習いに行く)とか、「ハンジをとりに行く」などといって、方々のユタを訪ね歩くことになる。その結果、カミダーリ状態に入ったこと … 続きを読む

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15 「チヂガミの力」

カミダーリ状態にある者が、自分専用のチヂガミを確認した時点で、カミダーリが終了するといわれている。裏をかえせば、カミダーリというのは、将来ユタになる者が守護霊(守護神)となるチヂガミをさぐり当てるための試練・修行ともいえよう。 ユタがハンジ(判示)を出すさいに「自分のチヂガミがこう言っている」とか「自分のチヂガミがこうさせる」というセリフがたびたび口をついてくるとされているが、それもユタそれぞれが専用のチヂガミを持っているからにほかならない。 一見すると、ユタそれぞれは独自の霊感を駆使してハンジ … 続きを読む

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