シーサー

絵画などで見る沖縄の代表的な民家は屋根獅子の乗った赤瓦であろう。屋根獅子とはいえ「獅子」と称するぐらいだから、そのモデルとなったのは「ライオン」であろうぐらいはおおよそ察しがつく。しかし、沖縄にライオンが生息していたという記録もなければ、そういった事実もないだろう。

それでは何故に、今日現在でもなお沖縄ではそれほどまでに獅子像がもてはやされるのであろうか。
沖縄人ほど自然石を崇拝する民族はほかにないのでは、と思えるほど深い信仰をささげてきた。
ビジュル」(霊石)がそうであるし、ヒヌカンも古式のウコールも石であったし、石敢當も本来は石造りであった。石を積み上げたヒンプンも数多く現存している。
さらに言えば、神の依代として巨岩を拝む習俗も健在である。当然「獅子像」も村獅子に限ってみれば、ほとんどが石獅子である。

沖縄人にとって自然石は、超現実的な力、神秘的で不思議な力をもつものであり、それを信仰することは古代から受け継がれてきたDNAともいえよう。
その力は、ときに悪鬼や悪霊などの侵入をはばみ、自分たちを守ってくれるものだと信じてきたわけだ。
また、あるときにその力によって子孫を繁盛させ、豊作や豊漁をもたらしてくれると信じた。そして、村々を守護してくれると信じたのである。

〔次回 11月26日|シーサーのルーツ〕

参考書籍:沖縄の魔よけとまじない

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