トゥシビー その2

長寿社会の現在では、還暦を迎えたからといって長寿を祝うという雰囲気はあまり見られない。一つの節目として家族で内祝いをするか、同窓会を兼ねた合同祝いをするのがせいぜいであろう。それも当然のことで、60〜70代になっても気力・体力ともに充実し、やる気の横溢した人が多い。そんな彼らを長寿者として祝う風潮が社会の中から徐々に消えていくのは当り前の話だ。

長寿を祝うのなら「ハチジューグヌユーエー」(85歳)以降ということになろう。ハチジューグヌユーエーは、沖縄本来の生まれ年を祝う「トゥシビー」である。ところがどういう訳か、それよりもむしろ「トーカチユーエー」(米寿)の方を盛大に祝う傾向が強いし、社会の注目度も高いようだ。

トーカチユーエーはあくまでも本土の「年祝い」(賀の祝いとも)が薩摩経由で導入されたもので、トゥシビーとは関係がない。従ってそれを「トゥシビー」と称して祝うのには若干の抵抗がある。とは言っても沖縄社会がそれを受容して定着させた歴史は長い。人生儀礼の一つとしてたいせつにしなければならないであろう。

〔次回 3月11日|トゥシビー その3〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 沖縄祝い事便利帳

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