好意的に見たユタ

要約して言えば、沖縄人の信仰生活の根幹をなす祖先祭りの隅々までユタ社会の考え方が反映されているのを素直に認める視点でユタを理解するということになる。
ユタ社会の考え方を単純に迷信、タワ言だと否定しては祖先祭りはできないということだ。
それはまた、祖先祭りを否定しては沖縄の信仰生活も成り立たないということにもつながるというものである。

前回の「憎悪の目で見たユタ」社会も、一つの実態をあらわしたものにはちがいないが、それとは相反する視点からユタを捉えようとする考え方もあるということを物語っている。
生来的に持っているとされるユタの霊的能力を肯定的に捉え、その霊的能力がカミや祖先の霊と直に交流することを可能ならしめているとする考え方で、その特異な能力を駆使して、祖霊と生きている人間の橋渡しの役目を担っていることを、積極的に認めていることになる。

沖縄の祖先崇拝の根源ともなっている「祖霊はやがて子孫の守護神となる」、あるいは「死者の霊は生きている人間の運命を左右する」という沖縄人の霊魂観がユタ社会の考え方にも色濃く反映されているのは明らかである。

そのような意味から、沖縄人の「トートーメー信仰」(祖先崇拝)をささえているのは、実はユタ社会だという考え方に結実されている。

〔次回 8月22日|シラシと祖先供養〕

参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり

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