ウグヮンとユタ

ウヤファーフジ(祖先・祖霊)への供養を忘れたり、怠ったり、あるいは誤ったりすると祖霊の怒りをかい、クヮッウマガ(子孫)によくないことが起こる。供養を手厚くするか否か、誤りなく執り行うか否かは、残された子孫の幸・不幸に直接的にかかわる。
こうした考え方は、ユタ社会のみならず、沖縄社会全体に幅広く受け入れられている観念である。

それだから、主婦にとって祖先供養をとどこおりなく執り行うことは、何よりも重要なことだとされている。裏を返せば主婦にとっても常に頭を悩ます問題ともいえる。その原因の一つとなっているのが、祖先供養で何らかのトラブルが生じた場合、その解決はユタの手をかりなければならないと、一般的に考えられていることだ。
祖先供養にかかわる問題が主婦のユタ買いの動機の一つとなっているのもこのような事情があるからだといえる。

祖先供養を執りしきる主婦にとって、グソーにいると考えられているウヤファーフジの状況や、ウグヮンブスクの有無はいつでも気になることであり、思いがけない災難や家族の病気などは、祖霊からのシラシとしてのサワリではないだろうか、あるいはウグヮンブスクをとがめるセーズク(催促)ではないだろうか、などという不安にかられてしまう。その不安をとり除くもっとも有効的な手段が、ユタのハンジをあおぎ、ウグヮンを重ねることだというわけだ。

〔次回 3月5日|ユタのハンジ〕

参考書籍:

カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業) | タグ: , |

スポンサーリンク