第34回 初夜のおあずけ
初夜のおあずけをくう、といった奇習が伝えられている村は意外なほど多い。 その代表的なものが、初夜に花嫁の女友達がやってきて一緒に寝泊まりするというものである。 夫婦がはじめての契りを結ぶはずの寝床が女友達に占領されてしまうわけだから、花婿はさびしくひとり寝をかこつことになる。それが一晩だけならまだしも、数日間におよぶことも珍しくなかったという。 当然、その間夫婦の契りはなしということになり、初夜もおあずけということになる。現代とちがい、ほとんどの夫婦が初めて交わりをもつことになるのだから、花婿も花嫁も互いに我慢くらべとなるわけだ。 初夜のおあずけでよく知られているのは久高島に伝えられる奇習である。 ニービチ(結婚式)を終えた花嫁は、初夜の準備どころかさっさと姿をくらましてしまうという。 花婿は友人ともども八方手を尽くして花嫁さがしに目の色を変える。ところがなかなか見つからない、何しろ、早々と見つかってしまう花嫁の評判はすこぶる悪くなるというのだから、逃げる花嫁も必死である。 当然、花嫁の逃亡を手助けする人がいる。数カ月も逃げ回った花嫁も実際にいたというのだから驚きである。 小さな島のどこに身をかくせる場所があろうかと思うのだが、息をひそめてすごしていたのだろう。 意に添わない結婚に嫌気をさして逃げ回っているわけではないので、そのことが原因で破談になることはなかったという。 遅かれ早かれ花婿に見つけ出され、夫婦の契りを結ぶことになったのはいうまでもない。 〔次回 9月19日|第35回 クファンムイ(結納)〕








