長男が外国や本土で暮らしている場合

現代社会では、長男といえど必ずしも両親と生活を共にするとは限らない。トートーメーの継承者が沖縄以外、他府県はもちろんのこと、外国に生活の場を求めるのは珍しいことでもない。こうしたケースでは、いずれ遅かれ早かれトートーメーの継承問題につき当たる。 トートーメーを継ぐために沖縄にもどってくるか、さもなければトートーメーを移すか、二者択一を迫られる。

トートーメー祭祀を優先的に考えるならば、生活の場を沖縄に移すことになるだろうし、現在の生活を優先させるということになればトートーメーを移すことになるだろう。どちらを選択してもなかなか厄介なことである。
ルールを重んじ、あくまでも長男継承にこだわるのであれば、長男にかわって近くに居住する次・三男を継承者にすることはできない。典型的なチャッチウシクミ(長男押し込み)となって、タブーに触れることになる。

実例として、外国に移住していた長男が、トートーメーを継ぐために沖縄にもどったケースもある。何とも不条理な話だが、これが現実である。
このようなケースの場合、本土であれば「分牌祭祀」という極めて現実的方法がとられるのだが、沖縄にはこのような習慣はない。従って、現実の暮らしを捨ててでもトートーメーを継承するために帰島を要求されることも珍しくない。トートーメーの継承問題の難しい一面でもある。

〔次回 4月23日|イナググヮンスとは〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日

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