ウグヮンのフスク(不足)を補い、不幸なチヂウリを回復させられるのは、ユタの司祭するウグヮンだけだと考えるのは、ユタを取り巻く社会では当り前のことだとされている。
ルール通りに継承されていないトートーメーを、そのまま放置しておいて、いくら祖先供養の祭祀を営んでも、祖霊の怒りはおさまらず、供養は受け入れてもらえないというのである。
本来、祖霊として祀るべきでない死者の霊を祀り、継ぐべきでない者が継承したトートーメーは、それを正して(シジタダシ)はじめて、供養を受け入れ、慰められると信じられているということだ。
また、ウグヮンは入れるべきところに執行してはじめて通るのであって、そうでないところにいくらウグヮンを入れても、決して通らない。なお、やっかいなことにはウグヮンを入れるべきところは、ユタのハンジによって導き出されるもので、決して素人判断でやってはいけないとされていることである。万が一にも、間違ったところにウグヮンを入れた場合、それがために「カミにたおされる」結果を招いてしまうという。
何とも理不尽で不条理な話ともいえるのだが、ユタの世界ではごく当り前のことと受け止められている。
ユタや専属のウグヮンサーをともなって、各地の拝所を回ってウグヮンを入れる、俗にいうところの「ウグヮンマーイ」は、フスクの解消とチヂウリからの回復を願うのであれば、必要不可欠のことだとされている。
〔次回 3月26日|ユタとトートーメー〕
フスクの解消とチヂウリの回復
参考書籍:
カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業)
タグ: シジタダシ, フスク
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