シジタダシは何のために必要なのか

沖縄には「亡くなった人の霊は、生きている人の運命を左右する力がある」とする観念が伝統的にあるようだ。だから死者の霊魂を慰め、供養することを大切にする。
子孫が病気になったり、ヤー(家)が繁栄しなかったり、商売がうまくいかなかったりするのは、祖先に対する「ウグヮンブスク」(御願不足)が原因ではなかろうかと考えたりする。

ウグヮンブスクとは文字通り、祖先に対する供養が足りないということなのだが、だからといって御願の回数を増やしたり、供物を豪華にすればそれで事足りるというわけではない。誤った御願をいくら入れても通らないからである。
亡くなった人の霊はイーフェーによって祀られる。そのイーフェーは正しく祀られ継承されてこそ、子孫の御願が通り、慰められ、供養されると考えられている。

当然のことだが、誤って祀られたり、資格のない者によって継承されたイーフェーは本来のあるべき姿にもどす必要がある。それが「シジタダシ」である。
シジタダシは、子孫の御願がきちんと通り、祖先が慰められ、供養を十分に受けられるようにするためにおこなうのである。その結果として、フスクは解消され子孫にふりかかる災厄がとり除かれるというわけだ。

〔次回 6月4日|ヌジファー〕

参考書籍:

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