離婚した女性が一家を構えた場合
当然のことだが、亡くなった後は位牌を仕立てて祀られることになるのだが、離婚しているのだから、ふつうは元の夫といっしょに祀られることはない。 実家にもどった場合は、死亡後は何らかの形で実家で祀ることになるのだが、嫁ぎ先の祖先として夫といっしょに祀られるという理想の形からは、はずれることになる。 実家にもどらず一家を構えた場合は、二つのケースが考えられる。 〔A〕男の子がいる場合と〔B〕男の子がいない場合である。 〔A〕の男の子がいる場合は、当然、亡くなった場合は、その子によって位牌が仕立てられ祀ら … 続きを読む
参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日
子どもをもつ女性が離婚した場合の祀り方は?
いろいろなケースが想定されるが、そのまま再婚もせずに亡くなった場合は「妻は夫とともに祀られるべき」だとする理想の形からははずれることになる。 ケース①としては「子を夫のもとに残したまま離婚した」場合。 1)再婚しないで亡くなったときは、独身のまま亡くなった場合と同様の扱いとなり、アジカイグヮンスとして生家で祀られるのがふつうである。なお、アジカイグヮンスを防ぐ手段として、亡くなった後位牌だけを夫のもとにもどす「イーフェーニービチ」という方法もある。しかし近年、こうした風習もあまり聞かれなくなった … 続きを読む
独身のまま亡くなった女性の位牌は?
人が亡くなると位牌を仕立てて祀るということは、沖縄が位牌祭祀を受容して以来、変わることのない不文律といえる。 従って、男女を問わず、独身のまま亡くなった場合でももちろん、位牌を仕立てて祀ることに何ら変わりはない。 ただ、トートーメーの継承にかかわる「四つのルール」には、娘はあらかじめ生家のトートーメーの継承者からはずされ、生家のトートーメーにいっしょに祀ることはタブーとされている。 その背景には、娘はいずれ結婚して生家を離れ、夫とともに嫁ぎ先の祖先として祀られなければいけない、とする伝統的な結婚 … 続きを読む
イナググヮンスとは
イナググヮンスとは、文字通り解釈するならば「女性の元祖」であり「女性の位牌」ということだ。 女性が元祖になるケースとしては、ふつう思いつくケースとしては、未婚のまま亡くなった女性の位牌、あるいは離婚して実家にもどり亡くなった女性の位牌だろう。 沖縄の場合、トートーメーの継承問題とからんで、生家を娘が継承することや、女子が家(ヤー)を創設することを忌避する風習がある。 従って、生家に娘しかいない場合でも、娘を婚出(嫁がせること)させ、同じ門中内から男性を養子にとり、家を継承させることを原則としてい … 続きを読む
長男が外国や本土で暮らしている場合
現代社会では、長男といえど必ずしも両親と生活を共にするとは限らない。トートーメーの継承者が沖縄以外、他府県はもちろんのこと、外国に生活の場を求めるのは珍しいことでもない。こうしたケースでは、いずれ遅かれ早かれトートーメーの継承問題につき当たる。 トートーメーを継ぐために沖縄にもどってくるか、さもなければトートーメーを移すか、二者択一を迫られる。 トートーメー祭祀を優先的に考えるならば、生活の場を沖縄に移すことになるだろうし、現在の生活を優先させるということになればトートーメーを移すことになるだろ … 続きを読む
長男が未婚のまま亡くなった場合
二つのケースを想定して考えていくことにする。すなわち、死亡した年齢が7歳未満であるか否かということである。 伝統的な風習としては、7歳未満で亡くなった場合は、イーフェーを仕立てないで祖霊といっしょにウコールで祀る。主たる理由としては、7歳未満の幼児は「カミ的存在」と見なされるからである。イーフェーを仕立てて祀る必要はないという考え方が成り立つわけだ。 従って、トートーメーの継承にかかわるタブー(チョーデーカサバイ、チャッチウシクミ)からは解放されることになる。 7歳以上で亡くなった場合は、当然の … 続きを読む
子どものいない場合のトートーメーの継承
結婚はしたけれども子どもができない場合、当然のことながらトートーメーの継承者がいないということになる。 このままの状態では家は断絶し、トートーメーは祀る人がいないままヒジュルイフーフェー(冷たい位牌)となってしまう。これは沖縄では最も忌み嫌われている。 もっとも望ましいのは早いうちに養取り(養子を取ること)して継承者を決めておくことだ。 ただし、この場合はこれまで述べてきた四つのルールが守られている事が条件となる。つまり、養取りにも一定の条件が付されるということだ。 養子は父方の血筋をひく男子に … 続きを読む
参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 トートーメーQ&A スーコーとトートーメー 絵でみる 御願365日
ルール その4
四つ目のルールは「二男、三男以下の者は将来生家より分家して一家を構え、亡くなったときは、それぞれの嫡男(長男)が新しくトートーメーを仕立てて祀り、代々継承しなければならない」というもの。 沖縄のイーフェーには一世代一組の夫婦のみを祀ることを原則としている。従って、先祖代々のイーフェーには、長男夫婦のみが祀られる資格を有することになる。祖先のイーフェーに二男、三男を祀るということは、一つのイーフェーに兄弟を並んでまつることになり、「チョーデーカサバイ」としてタブーとされている。またイーフェーは一世 … 続きを読む
ルール その3
前回の「イナググヮンス」とともに、もっとも厳格に守るべきルールとされているのが「マシジ」によるトートーメーの継承である。 マシジとは父方の血筋をひく者をさし、母方の血筋は除かれる。 言うまでもないことだが、血筋をひかない者(血縁関係のない者)は、いかなる理由があってもトートーメーの継承者として認めないし、祖霊といっしょに祀ることは許されない。 こうしたルールを破ってトートーメーを継承することを「タチーマジクイ」(他系混ぜ込み)といってタブーとされているのである。 タチーマジクイのあるトートーメー … 続きを読む