「カーウリー」

赤ちゃんの誕生を祝う伝統的な儀礼の一つである。カーウリーとは「川下り」という文字をあてているが、「ウビナディ」と「産湯」に使う水を汲むために川に行くという意味が含まれている。

赤ちゃんが元気な産声をあげると、祖母は何をさておいても「火の神」と「トートーメー」への報告のために「ウートートゥ」する。それと同時に、身内の女性が子どもをおともにつれて「ウブガー」(産川)やあるいは「村ガー」(村の川)におりていき、「ウブミジ」(産水)を汲んでくる。
汲んできたウブミジを器に入れて、右手の中指をひたして、赤ちゃんの額を三回なでる、これを「ウビナディ」という。それがすむと、残りの「ウブミジ」で産湯をつかわせる。
この一連の儀礼のことを「カーウリー」とよんでいる。

もちろん、こうした儀礼は「自宅出産」がおこなわれていた時代のことである。現在では、地域の人びとが「ウブミジ」を汲んだ産川も少なくなってしまった。
水をひたした指で額をなでる儀礼は、沖縄でよく見られる「まじない」(呪法)の一つである。器の水は「スディミジ」とよばれ、脱皮再生(生命が若返る)の効力があると信じられている。
今でも見られる正月の若水(ワカミジ)による「ウビナディ」(ミジナディと同じ)は、脱皮再生を願う儀礼の一つでもある。

〔次回 5月9日|ウバギー〕

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 沖縄祝い事便利帳

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