石敢當のルーツ

沖縄では、「ヤナカジ・シタナカジ」とよばれる悪霊や悪鬼、妖怪どもは道を直進してやってきて、その突き当たるところでたむろすると考えられている。
このような場所でたむろするヤナカジ・シタナカジを追い出さなければ、いずれ屋敷の中に入り込み災厄をもたらしてしまう。それだから「ヤナカジゲーシ」とよばれる「悪風返し」をする必要があるわけだ。

ヤナカジゲーシの役目を果たしたのが、はじめは文字の刻まれていない自然の石であった。数は少なくなったとはいえ、このような自然の石が見られる理由でもある。
自然の石に、ある種の呪力を認めてそれを拝みの対象とするというのが、沖縄の霊石信仰である。
こうした沖縄の霊石信仰に、中国で起こった石に「石敢當」という三文字を刻み、駆邪(邪悪なものを祓う)するという民間信仰が伝わり、結びついてうまく調和した。これが「石敢當」信仰である。

霊石信仰のルーツは沖縄の自然石に対する信仰であり、「石敢當」という三文字を刻んだ「石敢當信仰」のルーツは中国の霊石信仰である。この二つの民間信仰が融合したのが沖縄の「石敢當」だといえる。
沖縄の石敢當の本来の姿をとどめているのは、各市町村に残っている石づくりの「石敢當」である。

〔次回 5月16日|おもしろ石敢當 〕

参考書籍:沖縄の魔よけとまじない

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