屋根獅子の見すえているもの

年代の古い屋根獅子(今でも古い瓦葺きに見られる)は、目をカッと見開いて恐い形相をしたデザインがほとんどである。「ケーシ」(返し)として殺気ある方向にむけられているのがふつうだ。
従って、屋根獅子が屋根の上から見すえているのは、家・屋敷そしてそこに住む家族に災難をもたらすと考えられていた悪鬼・悪霊など邪悪なものであった。ふりかかる邪悪なものと対峙する屋根獅子が、それらに負けない迫力ある表情をしているのは当然のことだと言えよう。

ところが設置する家がふえるにしたがい、「ヒーゲーシ」や「ヤナカジゲーシ」という従前の機能を残しながらも、子孫繁栄など家運の隆盛をもたらすという新たな機能が付与されるようになる。
その結果、恐い形相に加えて豊かな表情をもつ屋根獅子が登場するようになっていく。
それらの中に、見すえる方角があいまいですっとぼけた獅子像もふだんに見られるようになっていった。

〔次回 12月23日|門柱にすえられた獅子〕

参考書籍:沖縄の魔よけとまじない

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