第5回目 「アカシ」と「ハンジ」

災いや不幸な出来事の原因を明らかにすることを「アカシ」といい、その具体的解決方法を提示することを「ハンジ」(判示、判断)という。

ユタ稼業の本質は、ユタコーヤーの求めに応じて悩み事や問題の原因をさぐり当てて明らかにし、その問題解決のための具体的方策をユタコーヤーに提示することである。いわば「現世ご利益」であり、それのためにユタコーヤーが受け入れ可能な具体策であるか、納得できる解決策でなければユタコーヤーを満足させることはできない。
したがって、ユタコーヤーは満足できる解答を見つけるまでユタ買いを止めようとしない。

多くのユタは、自分専用の「チヂガミ」(守護神)の助けを受けながら、カミや祖霊などとの交流、生来的な霊力を駆使して「ハンジ」を出すとされている。
そのシチュエーションはユタそれぞれに個性があり、一様ではない。2〜3の事例をあげて紹介する。

1)あくびをひん発し、カミや祖霊と交流するかの如く、祭だんの前にぬかずき、ゆったりとした調子でハンジを出す。
2)あくびをきっかけに、ユタ自身がカミや祖霊、あるいは死者になりきって独得の節まわしで依頼者に語りかけ、その後、常態にもどり語りかけたことの意味を解説しながら、ハンジを出す。なお、ユタにカミや祖霊が乗り移ったときにあくびが出るという。
3)線香の燃え具合やその色、あるいは米粒をつまみ取りながら、ハンジを出す。
4)映像があらわれるまでひたすら祈りつづけてからハンジを出す。

このように、ユタのハンジの出し方は個性的で、全員が霊感のみに頼っているワケでもない。

〔次回 10月17日|第6回 運勢判断〕

参考書籍:

カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業) | タグ: , |

スポンサーリンク